第2部:学祭1日目
第8話『暗転』
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みたいですし。分かりますよ。
でも、西園寺さんは伊藤さんを嫌いになっちゃったみたいだし、こうなっちゃった以上は、しょうがないじゃないですか。」
「しょうがなくない!!」
「…ごめんなさい」
刹那の大声に、皆がちらちらと目を向けるが、すぐに皆皆通り過ぎてしまう。
「ムギさん」
「はい?」
刹那は一瞬、ムギから目をそむけてから、
「七海には気をつけた方がいい」
「どうしてですか? 西園寺さんのために、結構気を使ってくれるいい人じゃないですか。
私には、まだどぎまぎしてるけど」
ムギはいまだに、ことの重大さが分かっていない。
「だからだよ」刹那は声に力を入れる。「七海は女バスのキャプテンだし、うちら誰よりも、私や世界よりも仲間思いだ。
でも、だから怖いんだよ。
友達のためなら、どんなことでも、できてしまうから」
日は傾き、窓には赤い夕陽が、飾りを照らしている。
昼ごろには廊下を埋める程に多かった客も、今や数人となってしまっている。
言葉は一人、誠を探して廊下を歩いていた。
「…どうして、誠に会えてたの…?」
横から、声が聞こえる。
世界だった。
待っていたのだと思われる。
「西園寺さん…?」
「みんな見張ってたのに…どうして近づけたのか、これだけは知りたいの…」
とは言いつつも、世界の拳は力を入れていた。
「私も聞きたいです。澤永さんに私を襲わせたのは、西園寺さんの差金だったんですか…?」
「澤永に?」
「それを教えてくれたら、教えてあげてもいいです」
「七海…どんなことをしたのかと思ったら…」世界は呟きつつ、「私は知らない…知らない…」
「そうですか?」世界の言葉は正直、言葉には信じられない。「幸い、秋山さんが私を助けてくれまして、誠君ともメールが通じていたましたから。だから、いつもの屋上で落ち合えたんです。
作戦失敗ですね。
平沢さんがそばにいたのは、私も予想外でしたけど」
皮肉たっぷりの口調に、世界は昂しかけたが、
『貴方が伊藤を批判する資格はない』
という澪の言葉が、頭をよぎった。
「私はもう、男の人に触られることすら嫌っていた、臆病な自分ではありません。
誠君好みの、誠君に尽くせる自分になれるように…努力しました。
本当の恋人になれる覚悟も、できています」
「でも!」
「あなたは、私が臆病だったことを利用して、誠君に体を与えただけじゃないですか。
しかも貴方は、私に誠君を紹介し、誠君との付き合いで悩んでいた時に相談に乗ってくれましたよね…?」
「違う! 誠は、本当に私のことを、貴方よりも好きって言ってくれて…!」
「その時の快感を、誠君は忘れられないだけじゃないですか…?」
「う…」
それは…あるかもしれない。
「そして
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