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Cross Ballade
第2部:学祭1日目
第8話『暗転』
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て、彼女は、
『桂と話がしたい』
 という澪のメールを思い出す。
「甘露寺、」梓は口を開く。「私には、分からないの。
桂が気に食わないのは私も同じだけど、何でそこまで、追い詰める必要があるのか…」
 交わした七海の目は、真剣。
「世界の敵だからだよ。」
「それは…そうだけど…」
「あいつ、いまだに伊藤の彼女は私って言ってるからねえ…。脳内どうなってんだか知んねえけど。
世界は彼氏でもゆずっちまうような奴だからよ…」
「……」
「それにしても、桂をかばうあの女も何なんだか」
「! 澪先輩は違います!! …多分桂が可哀想だと、考えなしに思っちゃって…」
「そう…?」
 七海は、あごに手をあてる。

 と、2人の前に、つかつかと世界がやって来て、通りすぎる。
「世界!?」「西園寺!?」
「私、帰る!」
 世界は七海と梓に、これだけ言うと、速足で階段を下りてしまう。
 七海の表情が、さらに険しくなったのが、見て取れた。


 女癖の悪い、ふらふらした少年…。
 これで、すべてのいきさつが、唯にはわかる気がした。
 世界の気持ちもわかるし、言葉の気持ちもわかる。
 でも、この少年を好きになった自分の気持ち…。
 それは間違っているのだろうか…。
「あのね、マコちゃん」
 穏やかな口調で、唯は口を開いた。
 正直、今は頭の中を整理できない。
 でも、自分の思った通りのことを、語っていた。

「私、すっごく楽しかった。
マコちゃんに会ってから。
あのコンビニで、マコちゃんを見てから…。
ううん、マコちゃんに近づいて、そして登下校したり、喫茶店に行ったりして、すっごく嬉しかった。
それだけじゃない。
榊野を通る時はすぐマコちゃんが目に付いたし、途中を歩いていても、マコちゃんのことが心に浮かぶんだ。
放課後ティータイムのみんなで演奏した時も、この演奏をマコちゃんに聴かせたいって思った。
みんなでお菓子を食べあいながら話す時もそう。
お菓子をマコちゃんに食べさせて、お茶飲みあいながら和気あいあいと話して、笑いあいたくなるんだ。
家に帰れば私の部屋をマコちゃんに見せたいと思うし、
ベッドに入れば、夢にマコちゃんが出てきてほしいっていつも思っちゃう。
マコちゃんと帰ると、また軽音部の練習を頑張りたいと思うようになったし、
マコちゃんに会えないと、軽音部の練習すらやる気にならなくなっちゃう。
軽音部にいる時よりも、ずっとずっと、ずーっと充実した一日一日になってたんだ」

「唯ちゃん…」
「えーっと…つまり…何が言いたいというとね。
ありがとう…。
そして、ごめん…。
私をこんな思いにさせてくれた人に、お礼の言葉を言いたいの…」
 そう言うと唯は、満面の笑顔を作る…
 が、誠は彼
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