第2部:学祭1日目
第8話『暗転』
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?」
ぽつりとつぶやく彼女。
「刹那?」
「いや、独り言」
ぴーんぽーん。
誰かが来たようだ。
来客を見て、刹那は目を丸くする。
「七海…あれ、ムギさん?」
「よお」
「お邪魔いたします。まさか甘露寺さんが、私を誘ってくれるなんて」
「あたしんちじゃなくて、誘ったのは世界の家ですよ。それにわざわざ、ケーキを持ってこなくても…」
ムギの手には、お菓子が入った箱がある。
いつも部室で食べるものである。
「手土産のつもりで持ってきました。私たち、部活はお菓子を食べることがほとんどだし。それに西園寺さん、これで少しは立ち直れるかなと思って」
「ちぇ、七海も私のところにケーキ頼めばいいのに」光は多少むくれながらも、「でも、ありがとうございます。ね、世界、ここはおいしいものを食べて元気だそうよ」
「ねえ七海、」刹那は気がかりなことがあり、口を開く。「他の放課後ティータイムはいないの? 田井中さんや、中野は?」
「あ、いや、その…」七海は笑いながら目をそむけ、「それにしても乙女の奴、こんな時に限って連絡が取れないなんて…」
「……」
「まあまあ」ムギは箱を開いて、「これを食べて、元気を出しましょうよ。
あ、KARAのポスター! 実はりっちゃんもK-POP好きなんですよ」
「悪いですけど、ほっといてくれませんか…?」
世界はベッドに突っ伏しながら、ぼそりと言った。
「まあまあ、スイーツを食べれば立ち直れることもあります」
ムギはそう言って、如才なく皆にケーキを配っていく。早速光はそれにかじりついて、
「おいしいです!」
世界もゆっくりとおきあがり、好物のババロアを口にした。
「おいしい…」
ぽつりとつぶやく。
「ムギさん、確かにこれはおいしいですよ」
刹那も相槌を打った。
「なあムギさん、」七海はゆっくり口を開く、「ちょっとこっちへ」
「はい?」
七海に誘われるままに、ムギは誰もいない外へと行く。
七海の右手が、拳になっていることを、刹那は気にした。
世界の家のドアの前で、七海はムギに、真剣な口調で、言った。
「ムギさん、いつか言いましたね。
『私、甘露寺さんのこと好きだから。甘露寺さんのためならなんでもできるから』
って」
「え、ええ…」
「なら、私の頼み、聞いてくれないか」
「え…」
「桂に、今までのすべてを復讐するんだよ」
「そん…!」
ムギが答える前に、5人の女子生徒がムギの周りを取り囲む。
がんをつけるようにして。
「こいつらは同じバスケ部員の同級生なんだけどさあ、
結構私を頼りにしていて、私の言うことには忠実だからさあ…」
七海は微笑を浮かべながら言う。
「頼み、聞いてくれるね…」
その鋭い眼光に、ムギは縮こまり…。
「あ
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