第2部:学祭1日目
第8話『暗転』
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「誠君、一緒に行きましょう」
言葉が誠に声をかけて、そっと腕を組んだ。
「ああ」
誠は、笑顔を彼女に向ける。
が………。
唯が2人を、大の字になって遮った。
「やっぱり、だめなの? マコちゃん……」
「ゆい…平沢さん…」
唯の悲しげな視線を見て、誠の胸が急に冷える。
「ね、ねえ…ならばタイムシフト制にできない? 4時から5時まで桂さんが、5時から6時まで私がマコちゃんと回る、とか」
「バイトか。」澪の突っ込み。
言葉が唯の前に進み出て、炎が付いた眼光を向ける。
こうなる時、彼女はいつも頑固なのだ。
「平沢さん、学祭で男女2人で回るということは…」
「分かってるよ…付き合ってるってことなんでしょ。私も、一緒に回りたいのに!」
「あげるわけには、いきません!」
激しくなった2人の口調。
「落ち着け、唯! 桂!」澪は誠に視線を向け、「伊藤、貴方はどうしたいんだ?」
「…それは…」
答えられるわけがない。
真剣な視線で唯と言葉は見るが…。
澪の顔を見ると、眉が幾分か寄っている。
『どうもはっきりしねえなあ』
そういう顔だと、すぐに彼も理解できた。
がちゃっ!!
突然、屋上入口から大きな音。
そちらを向くと、世界。
風が急に、激しくなった。
「どうして…」
低い声で、世界は言う。
「誠…どうしてここにいるの…」
「世界…」
誠は、彼女の怒りのこもった瞳から目をそむける。
「せっかく放課後ティータイムの演奏を聴いて、ファンクラブに加入して、学祭で一緒に回るって、約束したよね!?」
「と、トイレが長かったんだって…」
「誤魔化さないでよ!」世界は進みより、唯に目を向け、「聞いたんだよ…平沢さんとキスしてたって!」
澪と言葉は、思わず目を見開いた。
「ど、どうして知ってるの?」
唯は思わず、しゃべってしまう。
「やっぱり…!」
「世界、それは…!」
パンッ!!
あわてて歩み寄った誠の頬を、世界は張った。
「誠…ねえ…私と初めて結ばれた時、言ったよね…? 誠は私のこと、桂さんより好きだって…」
世界の声は、震えている。
「…なのに、どうして…?」
「…それは…」
「私、桂さんの代わりだったの…? 桂さんが誠にさせてくれなかったから、私で満たしたかった、ただそれだけ?
それとも、平沢さんが現れるまでのつなぎ? 私のいないところで、ラブラブの登下校をして、喫茶店へ行って…。いちゃいちゃ話をして…」
「いちゃいちゃって…そんなんじゃない」
「待ってくれ!」
誠と世界の間に、澪が入った。
「西園寺…だったね。」
「貴方は…秋山さん?」
「!」
ライブで自己紹介しただけな
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