第五十五話〜相性と意地〜
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「蒼月、モードリリース。パラディン、設定変更」
短く呟かれたその言葉を皮切りに、ライは一瞬だけ光に包まれる。
「アクセルドライブ」
その光が収まる前に呟かれた始動キー。その言葉がライに力を与えるように彼は加速する。
光が収まるとそこにあるのは、ライの魔力光である銀色の魔法陣のみ。
「!どこ――」
目の前の敵が消えたことに驚いたヴィヴィオは首を振り、目標を探そうとする。だが、彼女がライを視界に収める前に、背後からの衝撃で彼女の身体は宙を流れた。
「な?!」
聖王の鎧の防御で肉体的なダメージがないとは言え、自分の身に何が起こったのか解らないということは精神的にはあまりよくない。それが戦場であるのなら尚更であった。
この時、聖王の間全体を映している映像を見ていた六課のメンバーはライが何をやったのか、そして今現在何をしているのかを知り得ることが出来ていた。
ライはヴィヴィオの様に出鱈目な防御力を持った相手が自分にとっての鬼門であることを理解していた。だからこそ取ることができる戦術は限られてくる。
ライが取った戦術はいたって簡単、ただの力押しである。
最初の交戦で分かった、聖王の鎧の発動とヴィヴィオの敵からの攻撃に対する反応との間にあるタイムラグを検討。その結果、その僅かなタイムラグの間に攻撃をねじ込むのが最善という答えにたどり着く。
だが、聖王の鎧は明確な発動を起こしていない時でさえ、なのはの防御魔法と同程度の障壁が張られている。その為、ヴィヴィオに攻撃を通す最低条件として、全ての攻撃がカートリッジを消費させた威力の魔法攻撃でなければならない。
そしてもう1つ満たさなければならない条件がある。それは聖王の鎧に対してほぼ同時に別方向からの攻撃を複数回入れなければならないというものであった。そうすることにより、攻撃に干渉する一箇所辺りの魔力分配が少なくなり攻撃が徹りやすくなると言う考えからの結論である。
ライが使用するエナジーウイングの加速をフルに使えば、それも不可能なことではない。だが、ここに来るまでに使用したカートリッジの消費量から考えて正直な話、ギリギリであるとライは思っていた。
その為もう1つ、無謀とも下策ともいえる手段を選んでいた。
『バリアジャケットが!?』
ディスプレイから聞こえてくるのが誰の声かも判別する余裕が、今のライにはなかった。
ライは少しでも攻撃に魔力を載せる為に蒼月に設定していたバリアジャケットを解いたのだ。ただでさえ防御力が薄いライに今のヴィヴィオの攻撃が当たれば致命傷どころでは済まない。だが、勝利するためにライは自らにかける負担を増やす。
(押し切る!)
珍しく、自らを鼓舞するような言葉を内心で叫ぶ。
そしてライ
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