第一章
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そうじゃないのか?」
俺だけじゃなく他の奴等にも言った。
「あれはよ。探す顔だぜ」
「父親はわかってるのかよ」
俺はブラッディマリーを飲みながら呟いた。トマトの洒落たカクテルだ。アメリカ人ならこうした場所で洒落たものを飲む。俺のポリシーだ。
そのポリシーを行っている俺のところにそのアニーが来た。そうして俺に笑ってきた。
「ねえ」
「何だよ」
「探したわよ」
そのソバカスの顔で笑いながら俺に言ってきた。
「やっと見つけたわ。ここにいるのね」
「!?何でだ?」
今考えてみれば間抜けな質問だった。お腹のベビーの父親を探しているっていう奴にこう言ったのだから。けれどこの時はまさか自分だとは思っちゃいなかった。
「全く。いつもふらふらしてるんだから」
「ふらふら!?違うな」
俺はブラッディマリーを置いてからキザに笑ってアニーに言ってやった。
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