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錆びた蒼い機械甲冑
X:そこに待つのは大樹にあらず
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んだ方がいいと思う」


 その発言を受けて場はにわかに騒がしくなるが、皆大事な情報のおかげである程度覚悟が出来た様だ。納得いかないかのように金切り声を上げる者も居たが、そのプレイヤーはキバオウのドスの利いた声で黙らされた。

 会議の場が静かになっていくのを見計らって、長い髪を後ろで束ねている男性プレイヤー・“リンド”が、演壇に上がり締めくくりの言葉を発する。


「では、解毒Potは下の階層の道具屋も回り、今夜の内に大量に揃えよう。行動開始時刻は予定通りの明日朝九時で、集合地はズムフト北門とする。その後デッセルの町まで移動し、休憩後に迷宮句である党へと進行しよう。目標時間は午後二時だ」

 その言葉の後に会議場に居る全員を見渡し、気合いの籠った声を発した。

「……明日の夜には、第四層で祝杯を上げよう……勝とう、皆!!」


 皆その一言に頷き、キリトは拳を握りしめる。


 皆の解散を合図に、第三層ボス攻略会議は終わった。














 攻略組四十二人の力は伊達では無く、難なくとはいえずともかなりの早さで迷宮を進んでいく。


「キリト君、武器の具合はどう?」
「おう、まだまだいける……アスナ、は言うまでもないか」
「当然」


 キリトとアスナは会話を交わしながらお互いの調子を図り、戦闘では限られた言葉で会話をして連携を取っていた。尤も、限られた言葉で連携すること自体、SAOではさほど珍しく無いのだが。


 時に立ちふさがる強敵仕様のMobを薙ぎ払いながら、レイド部隊はボスフロアの前までたどり着いた。
 予定していた時間よりもだいぶ早く、皆のレベルの高さがうかがえる。


「フロアボスは……確か大型の木の化け物だった筈だ。ベータでは、だけどな」
「なるほど、少なくともベータでは、この第三層にピッタリのボスだったってわけね」
「ああ。正規版で全く違うという事はないだろうけど、少なくとも似通ってはいると思う」


 キリト達が後ろで会話していると、先頭からリンドの声が聞こえてきた。どうやら、ボス部屋に入る前の儀式の様な物をやる様だ。第一層でも、ディアベルという男がコレをやっていたのを、キリトは思い出す。


「第二層は犠牲者ゼロで突破できた……今回も犠牲者無くボスを倒そう。……勝つぞ!!」


 拙い言葉だったが、それでも部隊の皆から“オオ!!”という声が上がる。リンドの言葉に続くように、キバオウが扉に手を掛ける。


「そんじゃ…いくで!!」


 そして開けはなった扉の先に居たこのフロアのボス、それは大樹生い茂る部屋の中にたたずむ――――





 ―――蒼錆色の近未来的な機械甲
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