X:そこに待つのは大樹にあらず
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三層目のボスフロアの中、激しい金属音が響き、鮮やかなエフェクトが飛び散っていた。
「はぁっ! ……がっ!?」
黒衣を見に纏った線の細い男性プレイヤー・“キリト”が、目の前の“敵”へと片手剣ソードスキル・単発水平斬り『ホリゾンタル』をステップと共に放つが、“敵”はそれを最小限の動作で躱わし、次いで強烈な一撃を打ち込んでキリトとその周りの二人を弾き飛ばす。
「やあぁっ!!」
隙ありと言わんばかりに細剣ソードスキル・単発突き『リニアー』を、亜麻色の髪を持つ凛冽な美貌の女性プレイヤー・“アスナ”は繰り出した。しかし、“敵”は足元を爆発させたかのような勢いでその場から飛び退り、一気に距離を取られてしまう。
追撃をしようとしていたらしい他のプレイヤー達も、その異様な距離の取り方に不意を突かれ、更に向こうが投げてきたナイフのせいもあり、タイミングを失ってしまった。
「何やねんなこいつは!? チートにも程があるやろ!?」
トゲトゲの髪型を持つ関西風な言葉遣いの男性プレイヤー・“キバオウ”がその強さに怒鳴るが、そうした所で状況が変わる事はない。
四十二人七パーティのレイド部隊は、たった一つの対象に苦戦させられていた。その“敵”は、第三層を象徴するかのような、自然見あふれるボスMob……では無かった。
「クソっ! なんで……なんでボスが全く違う奴になってんだよ!?」
キリトが立ち上がると同時に言い放った通り、今、彼等と対峙しているのは――――
左手に鉄板刃の剣、右手に大量の投げナイフを持った、蒼錆色一色の機械甲冑の騎士だった。
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戦い開始の約一日前。
第三層の主街区“ズムフト”で、ボス討伐のための会議が開かれていた。
「え〜っと……結論から言うと今回のクエストで得たボスの情報は『毒攻撃を仕掛けてくるから、解読Potを大量に持ち込むように』……以上です」
キリトのその言葉に、その場に居た一同は“なんだそりゃ”と言った感じの視線をキリトに向けていた。
HP0=死となったSAOでは、状態以上の一つが命にかかわるので、解毒Potを常備している者は多い。加えてこの第三層では“人間型Mobが出てくる”と言った事の他に、毒攻撃を持ったMobが前のニつの層よりも出てきたので、今まで以上に警戒して持ち歩く者が増えたのだ。
その雰囲気を察したのかキリトは取り成すように咳払いをした後、更に付け加えた。
「……ベータ時代のボスは、そこまで派手な毒攻撃はしなかった。けれど、此処が変更ポイントになるかもしれないから、警戒し過ぎなぐらい大量に解毒Potを持ちこ
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