2部分:第二章
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て言った言葉だ。そう感じているのは俺達全員だったが。
「普通にこんなもん食えるなんてな」
「そうだよな」
ギターがそれに頷いた。
「おまけに今度バイクも買ってもらえるしよ」
「バイク!?まさか」
「ああ、ハーレーさ」
ギターはベースの問いに答えた。
「新曲がヒットしたからな。それのご褒美ってやつさ」
「ハーレーかあ」
ドラムはそれを聞いて思わず顔をあげた。
「嘘じゃないんだよなあ」
「そうだよね、嘘じゃないんだ」
キーボードはステーキを口に入れながら言った。
「このステーキだってな」
「何か俺達って今普通に凄いことになってるんだよな」
「そういえば御前今度作曲するんだよな」
「うん」
サックスは俺の問いに応えて頷いた。
「アルバムのだけれどね。そのうちシングルの作曲もしたいね」
「作詞は俺でな」
リードヴォーカルがここで言った。うちのバンドのオリジナルの作詞は殆どこいつがやっている。
「兄弟でやるんだな」
「御前とも作りたいけどな」
「ああ、任せとけ」
作曲は俺もやる。あとベースとキーボード、そしてドラムも。ギターは作詞をやる。殆どリードヴォーカルがやってるが。
「アメリカ中が腰抜かすような曲作ってやるぜ」
「楽しみにしてるぜ」
「ああ」
「けれどさ。ここまで上手くいくと何か怖いね」
ここでドラムがふと言った。
「そうか?」
「アメリカに来た時はさ、どうなるか思わなかったから」
「まあな。野垂れ死にも考えてたな」
「縁起でもねえな、おい」
ギターがベースに突っ込みを入れた。
「いや、案外そっちの方が可能性あったな」
だが俺はここでこう言った。
「おいおい、マジかよ」
「今だって俺達はイロモノ扱いだろ?」
「まあな」
「確かにな」
メンバーは皆それに頷いた。俺達は日本人だ。そしてここはアメリカだ。だからどうしてもそうした目で見られている。俺達の音楽も今はそうした目で見られているのが現実だ。歌や演奏がいいと言ってくれるファンも確かにいるが現実はそうした見世物みたいな扱いだ。
「プロデューサーもそこを見越してだと思う。声をかけたのは」
「そんなもんか」
「それが現実なんだろうな」
俺にはそれが嫌になる程わかっていた。だからこそ言った。
「だからな」
「ああ」
「こっから。変えていこうぜ」
「こっからか」
「今俺達が食ってるステーキは実際の俺達の実力を見られてのステーキじゃない」
「それを実力で食うってわけか」
「その為にここに来たんだからな」
俺はメンバーの顔を見回した。
「アメリカにな。そうだろう?」
「ああ」
最初にリードヴォーカルが頷いた。やっぱり最初はこいつだった。
「確かにな」
「俺達ここで夢を掴む為に来たんだ
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