第三章
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」
僕は今度ははっきりと言った。教会とかそんな回りくどいことは言わなかった。
「明日、結婚しよう」
そしてまた。彼女に言った。
「いいかな、明日」
けれど返事はない。返事はないのはわかっていても。それでも言った。
「それからずと二人一緒にね」
花束を置いた。石の側にそっと。
「一緒にいよう。ずっとね」
返事はなくても。言わずにはいられなかった。その為にここに戻ってきたのだから。言った。今その気持ちと言葉をはっきりと伝えた。
「いいよね、それで」
僕は自分の気持ちを最後まで伝えた。淀みなく伝えた。彼女の心にもそれは届いている筈だ。きっと。それならばいい。それしかないのだから。
そこまで伝えるともう他には何もなかった。最後にこう言うだけだった。
「さよならは言わないから」
彼女に対して言った。
「だってずっと一緒だからね」
そして丘を下りた。彼女に愛を伝えて。そして下りた。
終わったんじゃない。はじまるんだ。今から。僕はそう思いながら丘を下りた。
僕は彼女に全てを伝えた。そして彼女はそれを受け取ってくれた。僕の心の言葉を。今から全てがはじまる、それからずっと二人でいる。僕にはそれがわかっていた。
そう、これから。彼女は僕の中に生きている。僕がここにいる限りずっと。それを今噛み締めながら丘を下りた。彼女の心を胸に抱いて。
MARRY ME TOMORROW 完
2006・7・21
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