暁 〜小説投稿サイト〜
インフィニット・ストラトスの世界にうまれて
アダルトタイムな、二重奏
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ちょっと待て、ベインズ。今、何て言った? 私の名前が出た気がしたが?」

口は災いの元とは良く言ったものだ。
店内の空気が一瞬にして氷点下にまで下がった様に感じ、空気中の水分が瞬時に凍結、ダイヤモンドダストが照明に照らされ煌めく様子が見えた気がした。

「山田先生、今日は遠慮せずにどんどん飲んでいいぞ。後の世話はベインズがしてくれるそうだ。今日はお前の窮地を救ってやったんだ。借りを返してもらわねばな。それからここの飲み代もベインズに支払わせてもいいだろう」

先生が生徒にたかるつもりか? それがまともな大人のすることか?

「はい、そうですね。今日は思いっきり飲みましょう。何せ私はベインズくんに捨てられた女だそうですから。これが飲まずにいられますか」

何? 誰だよ、そんなデマを流したヤツは。
そもそも俺と山田先生はそんな関係じゃないだろ。
俺が頭を抱えている隣で、織斑先生と山田先生はガンガン飲み始めていた。
グラスを開ける前に次を注文する始末だ。
俺はトイレに行く振りをして逃走をはかろうと席を立った途端、両肩に手が乗せられる。

「どこへ行くつもりだ? ベインズ」

「そうですよ? ベインズくん。どこに行くつもりなんですか?」

「どこへと申されましても………トイレに決まってるじゃあないですか」

「そうか。お前はこの店に来たのは初めてだったな。それならトイレの場所は解るまい。山田先生、ベインズに案内してやってくれ」

「はい。任せて下さい、織斑先生。さあベインズくん、迷子にならないように先生に着いてきてくださいね」

どうやら逃走を図るのは無理なようだ。
こうして俺の夜は更けていく。

酒を浴びる様に飲み始めた先生たちを、何とか宥めすかそうとするが、俺の努力は報われることはなかった。
流石に俺が飲み代を支払うことはなかったが、へべれけになった山田先生を俺が背負い運ぶことになった。
俺の背中で酔っ払いの見本状態の山田先生は、俺に捨てられただの若い女に走っただの言うもんだからかなり慌てた。
他には、先生の大切な物を奪っていったとか他人が聞けば誤解を受けるようなことを言い出し、それは何かと尋ねた俺に、山田先生は私の心ですと答える。
それを聞いた俺は山田先生を背負ったままコケそうになる。
まさかそのネタがこの世界にもあるとは思わなかったよ。
俺と山田先生のそんな会話は当然の様に街行く人々の耳にも届く訳で、山田先生が何か言葉を発する度に注目を浴びることになった。
織斑先生はというと、あれだけ飲んでも足元がおぼつくようなことはなかったが、もう俺を助ける気はないようだ。
どう考えても俺のブラコン発言が原因だろう
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