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少女1人>リリカルマジカル
第四十五話 少年期【28】
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な自立型の魔導書かと思ったら、どうやらただの本らしい。むしろこれは、俺と同じ検索魔法の術式?

 淡い緑の魔力に包まれた本は、そのまま魔法を発動した術者の元へと移動していく。気づけば、数十の本が同じように集まっているようだった。無限書庫ほどでないとはいえ、この大きさの図書室全体を包み込むように発動されている検索魔法。

「すげぇ…」

 図書室でも人気の少ない隅の方。そこに、まるで天体のようにぐるぐると本が宙に浮かびあがり、すごい勢いでページが開かれていた。あれはおそらく読書魔法だろう。読書魔法は名前の通りの魔法で、複数の本を同時に読むことができる検索魔法の一種だ。俺は検索魔法を使ってから、読書魔法を使うという手順で行っている。だけど、今魔法を使っている人物は、両方を同時に行使していた。

 それだけで、その人物の技量がある程度わかる。俺が検索魔法と読書魔法を別々に使うのは、俺のキャパシティを超える能力が必要になるからだ。魔力を使って脳を活性化させ、並列思考を生み出す。理論はわかっているが、それができるかと言われれば、できるか! とブン投げたい気分になる。

 そんな俺だからこそ、この光景に圧倒された。まるで本で作られた宇宙にいるような、そんな気分になってくるのだ。

 ―――それにしても、この光景を俺はどこかで見たような気がする。こんな魔法を見る機会なんて、学校に入ってからか、それこそ前世の動画ぐらいでしか……。

「あれ、アルヴィン?」
「へ?」

 宇宙の中心に立っていた太陽、もとい俺の友人であるメリニスが、不思議そうな顔で俺を見ていた。彼女と一瞬誰かが重なった気がするが、すぐに消えてしまった。


「へぇー、アルヴィンも検索魔法が使えるんだね。珍しい魔法なのに」
「メェーちゃんこそ。図書室によく行っているのは知っていたけど、あんなにすごい魔法が使えるなんて知らなかったよ」
「そ、そんなことないよ。それにこのぐらいしか、とっ、得意なのはないし…」

 素直に感心していた俺の言葉に、真っ赤になって謙遜するメリニス。いやいや、あれですごくなかったら俺が泣くから。あれがミッドの平均的な検索魔法なら、俺は今すぐに大洪水を起こせるぜ。

 しかし…と俺は疑問に思う。確か彼女は、検索魔法の選択授業を取っていなかったはずなのだ。さすがに同じ授業を取っていたら、彼女の実力をもっと早くに気づいていてもおかしくなかったはずだからだ。

「検索魔法の選択授業は取っていないよ。私も取ってみようかなって思ったんだけど、受けたい講義と時間が被ってしまったから」
「それじゃあ、検索魔法はもとから?」
「うん。お母様のお家の仕事関係で、よくお手伝いをしていたから。だから、家族以外で他の人が使っているのは見たことがなくて」

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