第四十五話 少年期【28】
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キラキラした目で何故か掃除用具を握りしめるリンディと、卵の塩加減が若干多かったな、と顔をしかめるレティ、そして落ち着こうと水筒のお茶を飲みほして冷静になるクライド。相変わらず3人組は仲が良かった。
「この箒は私の新しいデバイスよ。ほら、私って特定のデバイスを持っていなかったでしょ?」
「いや、ほらって君な。……もともと味覚は狂っていたが、まだまともな方だと思っていたのだが」
「レティ、あなたにまともの定義はされたくないんだけど…」
リンディと呼ばれた少女の手には、彼女の身長ぐらいの長さはある立派な箒が握られていた。こうなったらトネリコ材を使った逸品であり、直進性や耐久性などの素晴らしさについて語り明かすべきか、と少女が考える。ぞくっと瞬時に不穏な空気を感じ取ったレティは、話の矛先を戻すことにした。
「それで、実際にその箒はどうしたんだ」
「え? あぁ、この前ね、後輩の友達ができたのよ。その時に見せてもらった漫画が面白くて。一緒に趣味を盛り上がれる友達もできたから、それなら一緒のデバイスを持たないかって」
「その友達……っていうのは、男か?」
「いいえ、女の子よ。というより、魔女かしら?」
「「魔女?」」
この次元世界では、魔法の存在が認知されている。そして、その魔法を使う者たちを総称して『魔導師』と呼んでいた。魔の力を用いて導くものとして。その中で、魔女という呼ばれ方は久しく聞くことがなかった。
「……そういえば、ベルカの歴史の授業で、昔は魔女と呼ばれる一族がいたって書いていた気がする。確か、聖王国と友好国にあったシュトゥラの近くに暮らしていたらしいが……戦乱で消えてしまった名の一つだな」
「歴史から消えた一族か…。僕も名前だけなら本に載っていたから知っているし、今も何人か実在するとは聞いていたけど、驚いた」
「クロゼルグも、そんなことを言っていたわね…」
リンディの悪寒から逃れるために記憶を掘り起こして語るレティと、友人が女性で、運命の出会いも漫画とわかったからか饒舌になるクライド。まさに類は友を呼ぶ。
薄い緑のかかった金色の髪と瞳を持った、ローブ姿の少女をリンディは思い出す。箒以外のことは無口で、あまり感情を表に出す子ではなかった。だけど、どちらかというと感情を押し殺そうとしているようにも見えたのだ。漫画に載っていた服や飾りに、興味深々なのを必死に隠したりして。
クロゼルグと名乗った彼女の魔法は、ミッド式ともベルカ式とも違う独自の技術だった。魔力変化や変化系統の魔法に一時期力を入れたリンディだからこそ、彼女の魔法は非常に興味深かった。クロゼルグもまた、最小限の関わりしかしてこなかった魔導師との邂逅で知識を増やすことができる。
リンディとしては、知識的欲求もあったが、何
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