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少女1人>リリカルマジカル
第四十五話 少年期【28】
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な場所で過ごしてきたし、転移で近くの森や野原を放浪していたからだろう。昔、手のひらから溢れるぐらいのダンゴムシを持ってきて、俺と母さんをビビらせたことすらある。子どもの好奇心ってすげぇ…。

「……ところで、なんでメェーちゃんはあんな隅の方へ?」
「メェーちゃーん、ヤゴさん見ないのー?」

 アリシアの呼びかけに無言で、そしてすごい勢いで首を横に振るメリニス。アリシアのヤゴ軍団に目を向け、次第にうるうると涙目になっていった。

「少年B、俺のいじり魂がものすごく刺激される光景なんだが」
「あれは本気で泣きそうだからやめてあげてくれ」

 はいはい、さすがに女の子をマジ泣きさせるつもりはないんで自重します。俺は取ったヤゴをかごの中に入れさせてもらうと、濡れた手と汗をタオルで拭っておいた。


「はぁー、しかしなかなか熱かったぜ」
「お兄ちゃん、すごく真剣だったもんね」
「ふっ、俺には再戦を誓ったやつがいるからな。予行練習さ」
「……諦めていなかったんだ」

 当然だろ、と俺は自信満々に答える。時々遊びに来た、クイントとメガーヌにもベルカ式の練習方法を教えてもらっているんだぞ。フェイントや相手の呼吸を読むのは、接近戦に力を入れているベルカ式の方がわかりやすいからな。

「今年こそは、絶対にクエストクリアしてやるさ!」
「おー!」
「……金魚を掬うためにそこまでやるか」

 教えてもらっている2人にも、微妙な顔して言われたよ。


「ん? 2人とも同じものを首にかけているんだね」

 ティオールが不思議そうに俺とアリシアの首元を見つめる。それに視線を向けると、俺には青色の、アリシアには黄色のお守り袋がぶら下がっていた。いつもかけていたんだけど、普段は服の下に隠れていたからか。今は水辺ということもあり、上着を脱いでいたから気づいたのだろう。

「あぁ、お守りだよ。安全祈願ってね」
「家族みんなで持っているんだよ。お兄ちゃんが作ってくれたの」
「えっ、アルヴィンが……?」
「おい、その顔やめろ少年B。本当に頑張って作ったんだよ、俺が。なんでそんなに信じられないって顔するんだよ、俺だって泣くよ!?」

 俺の家庭科の成績というか不器用さは、今世でも有名になったようでした。



******



【魔導師と魔女と魔法少女】


「ねぇ、レティ。私ね、運命の出会いをしてしまったかもしれないの」
「そうか、というかその箒はどうした」
「リ、リンディ。運命の出会いって一体、な、何が…」
「普段の冷静なお前はどこにいった、クライド」

 初等部を卒業して、早数ヶ月経ったとある昼下がりのこと。クラ校の中等部の教室の一角で、昼ごはんを食べながら少年少女たちは会話をしていた。

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