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MARRY ME TOMORROW
第二章
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。まあ詳しい話は車の中でな」
「うん」
 そして僕は友達の車に乗せてもらった。そのままあの丘に向かう。その間車の中で話をしていた。
「どちらにしろもうすぐこっちに戻るつもりだったんだろう?」
「その予定だったよ」
 僕は助手席にいた。そこから彼に話した。
「実際にもうすぐ正式に帰って来るし」
「そうだったのか」
「まさか。今帰って来るとは思わなかったよ」
「それはな」
 友達は車を運転しながら僕の話を聞いていた。その表情は決して明るいものじゃなかった。
「信じられないだろ、まだ」
「確かにね」
 僕はその言葉に頷いた。
「今でもまだ信じられないよ」
「俺もだよ。本当に急だったから」
「交通事故か」
「そうさ、それで」
「・・・・・・うん」
「行くんだろ?」
 友達は僕に声をかける。
「丘にさ」
「よかったらそっちに行ってくれるかい?」
「ああ、いいさ」
 そしてその申し出に頷いてくれた。
「じゃあな。今から行くぜ」
「頼むよ、けどその前に」
「どうした?」
「花、買いたいけれど」
 僕はふと気付いた。花を持っていないことに。
「花か」
「うん。何処かにいい店があればいいけど」
「こっからだと一つ知ってるぜ」
「じゃあそっちにまず寄ってくれるかな」
「わかったぜ。それじゃあ今からな」
「うん」
 まず花屋に向かった。そこで花束を買う。彼女が好きだった白い花ばかりだ。種類は特に選んでいない。彼女は白い花なら何でもよかった。だから白くて奇麗な花を選んでもらって花束にしてもらった。そしてそれを買ってから店を出た。友達は駐車場で待ってくれていた。
「それ買ったのか」
「うん」
 僕は助手席に入りながら答えた。花を崩さないようにそっと動きながら。
「何かな」
 友人はその花束を見ながら言った。
「どうしたんだい?」
「いや、ブーケみたいだなって思ってな」
「ブーケか」
「白い花ばかりだろ、だから」
「そういえばそうだね」
 彼に言われてはじめてそれに気付いた。
「花の種類もそんな感じかな」
「その花束でいいんだな」
「ああ、これでいい」
 それでも構わなかった。確かにブーケに見えるけど。それならそれでよかった。彼女に伝えたい言葉は。ブーケの言葉と似たものだったから。
「だから」
「ああ、わかったよ」
 僕の言葉を聞くと彼は頷いてくれた。僕は席に座って花束を膝の上に置く。そしてシートベルトを締めた。それを見て彼はアクセルを踏んだ。


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