五幕 硝子のラビリンス
1幕
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フェイが〈妖精〉でありエルの妹であることが発覚した件を経て、フェイは前より足繁くルドガーのマンションに通うようになった。ルドガーとエル、3人で食卓を囲み、泊まる日も増えた。
地道にクエストをこなして借金を返す日々の最中。クランスピア社からついにルドガーにお呼びがかかった。
ルドガー初の、分史世界破壊任務である。
フェイ・メア・オベローンはクランスピア社のエントランスホールの片隅に立っていた。
エル、エリーゼ、アルヴィン、レイアも近くにいる。
フェイの視線の先では、ルドガーとジュード、そしてローエンが〈分史世界〉とやらの詳細説明をヴェルから受けている。
今日はルドガーの、エージェントとしての初仕事なのだという。だからフェイはルドガーとエルと一緒に来た。〈妖精〉のフェイであればルドガーたちを守れると思ったからだ。
すると、ジュードたちも、ルドガーに付き添うつもりでクランスピア社に集まっていた。理由は各々違ったが。
ルドガーたちが戻るのを待っていると、エリーゼがフェイに声をかけてきた。
「フェイ、髪型変えたんですね」『エルとちょっと似てるー』
フェイは髪を切った。腰に届き、前髪も顔を隠すほど長かったものを、肩甲骨の辺りまでばっさり切り落とし、前髪も顔を隠さないようにした。
ヘアスタイルは、本当はエルと同じぱっつんのツインテールにしたかった。だが、ルドガーにやってもらった時は痛くて我慢できず、自分でやるとどうしても髪を掬いきれない。
妥協点としてのツーサイドアップヘアと、エルとおそろいの髪留めである。
「カワイイですよ」
「……アリガト」
言ってすぐ、フェイはしゃがんで、エルの背中におでこを押しつけた。照れてる、とエルがエリーゼに言うと、エリーゼはくすくすと笑った。
髪に隠れた顔がさらに熱くなったのを感じた。
「お待たせー……って。何かあったのか?」
ルドガーたちが戻るや、フェイはエルの後ろから出て、ルドガーの腕にしがみついた。
「何でもありません。ねー?」
「ねー」
ルドガーはきょとんとしたが、すぐ苦笑した。
「ここじゃかさ張るから一旦外に出よう。大まかにだけど説明するよ」
促され、ぞろぞろと会社ビルの外へ出た。
正面玄関前広場に出てから、ルドガーがヴェルから聞いたという知識を皆に伝達する。時にはジュードやローエンが補足した。
「――って感じだけど。分かんないとこある人?」
「ないぜ」
「全然オッケーっ」
「よし。じゃあ実際に分史世界に入る。みんな、準備いいか?」
誰も異議は唱えなかった。
フェイはそっとルドガーから離れた。大事な
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