V:機械甲冑の思考
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機械騎士は、見間違いではないかと他の攻撃も含めて検証したが……結果は全て同じだった。
(有リ得ナイ……マルデGAMEカ何カノ様ニ、“バリエーション”コソ有レド軌道ヤ予備動作ガ全ク同ジダト……!?)
たとえ機械だろうとも多少なり軌道が違う事はあり得る。だがしかし目の前に居るのは生物であり、“全ての攻撃や予備動作が全く一緒”など、かなり訓練を積んで意図しない限りは絶対あり得ない筈なのだ。
(不気味ナ奴ダ……サッサト始末シテヤルカ)
そう考えた彼は、武器の“機能”をある程度解放しナイフをしまった後、それまでとは比べ物にならないスピードで迷彩牛頭に向かっていく。
「オオオオオォォォォオッ!!」
ブースターによる加速も生かし、腰部を斬り裂き腹部を抉り、身体を駆け上がりながら斬り刻む。止めに牛頭の頭へ両手持ちでの斬撃を浴びせ、左角を切り落としながら頭部を斬り付けた。
『ボ……ブオオオオォォォ……!! オォ…』
やがて限界が来たらしく、迷彩柄の牛頭は断末魔を上げて後ろに倒れた。
「……truncation pole(切り捨て御免)」
何処の国だったか、こんな言葉を斬り捨てた相手に言う国があったなと考えていた機械騎士は、またも驚くべき光景を目の当たりにした。
倒れ込んだ牛頭が、パリィィン、という軽快な音と共にポリゴン片となって消えてしまったのだ。
(……何ナンダ、コノ森ハ……?)
レーダーを通すと精密なポリゴンになってしまう木々、ゲームのようにパターン化された攻撃を仕掛けてくる牛頭の亜人、その亜人がポリゴン片となって消えうせる……常識では考えられない事が次々起きている。
(……一先ズ、コノ大森林ハ抜ケタ方ガイイカ……)
そう思った機械騎士は、奇妙な大森林を抜けるべく行動に移す。……が、レーダーが利かず地理も知らないこの森林の中では迷ってしまうのは必然であり、結局元の開けた場所へ戻ってきてしまった。
「ハァ……(ショウガナイ……今晩ハ此処デ過ゴスカ……)」
やがてあきらめたらしい騎士は、日が暮れてくると同時に遺跡に寄り掛かるように座り込んだ。
彼が噂になるのは、この数日後の事である。
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