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錆びた蒼い機械甲冑
V:機械甲冑の思考
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 蒼錆色一色の機械甲冑の騎士は、戸惑っていた。


(俺ハ何故コンナ森ノ中ニ居ル?)


 自分は先程まで傭兵の依頼をこなしていた筈だった、なのに一瞬目の前が真っ暗になったかと思うと、こんな所に放り出されていたのだ。
 彼はとりあえずここかどこかを判断する為に、視界式レーダーを作動させて当たりを探るが、木々が不自然なポリゴンになった事以外何も分からない。



(座標ハ―――“不明”……カ)


 ため息の様に空気を吹き出しながら、機械甲冑はあたりを見渡した。








 彼が元居た世界では、対話インターフェイス搭載の人工知能(AI)や人の脳を組み込んだサイボーグなどはさして珍しいものでは無かった。
 武器のみになるが、テレポート技術もあったのだ。

 だが、どんな世の中にも予測不能な物事があり、そこから生まれるイレギュラーが居る。彼はそうしたイレギュラーから誕生した。

 とある科学者が人間の脳を組み込むだけでなく、人と同じ成長する要素をもった機械を作れないかと考えつき、すぐさま実行に移した。
 材料や制度確認のために、かなりの人間の命を犠牲にしたその実験の結果、いわば生体機械、生体武器とも呼べる代物が誕生したのだ。しかし、実験の集大成が自分自身に牙をむくなど、その科学者は予想していなかった。
 
 結果、科学者を殺し研究所を破壊した蒼錆色をした甲冑姿の生体機械は、自分が何者かを探るべく、傍にあった武器達を手に旅に出、途中で聞いた職業である“傭兵”を営む事にしたのだ。


 そして商売が乗ってきたその矢先――――彼は見知らぬ場所へ放り出されてしまったのだ














(……俺ガ“イレギュラー”ダカラ、ト言ウ事ハ関係無サソウダガ……モウ少シ探ッテミルカ)


 とりあえず邪魔な木々を避けながら進み、彼は不自然に開けた小さな遺跡のある場所に出た。


(トリアエズ、此処デ休憩ニスルカ)


 そう思った彼は、先程まで持っていた盾付きの鉄板刃の剣“プラエトリアニ”を地に刺し、地面に座り込む。
 生体機械である彼は、普通の生物と同じく休憩をとる必要があるのだ。とはいってもそれは“形的”な物で、普通の生物とは違う部分が多いのだが。


 ともかく、少し落ち着いてから再び探索を開始しようとした彼の聴覚器官が、奇妙な音を探知する。


 それは、何かが軽快に組み上がって行くような音であり、こんな大森林の中では決して聞こえる筈の無い、人工的な音でもあった。


(何ダ? 何ガ起コッテイル?)


 彼が“プラエトリアニ”を地面から抜くのとほぼ同時―――遺跡が突如として爆ぜ、中から牛のような頭を持っ
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