第三十五話「実際にこの言葉を言うとは思わなかった」
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「えっと……あの……」
「グルォォォオオオオオオッッ!」
「だからトトちゃんうるさいよ?」
トトちゃん、今度は口から火の玉を吐いたよ。
「きゃっ」
三沢さんを突き飛ばしてどかし、その反作用で僕も避ける。
しかし追尾式のようで、火の玉は独りでに方向を修正し、僕の後を追った。
避けきれず火の玉が僕の身体を包んだ。
「うぉぉぉおおおおお! あっちいぃぃぃっ!」
地面をゴロゴロのたうつ。
特殊な炎なのか、火の勢いはまったく衰えない。
「ギォォォォォォォ!」
トトちゃんの巨大な尻尾が迫ってきた。
「ぽにゅっ」
地面とサンドイッチ。しかし、そのおかげか、炎は鎮火したようだった。
ぷすぷすと全身から煙を噴き出しながら地面に大の字で伏せる。あかん、起き上がる気力もないです……。
…………死にはしないだろうけど、これって地味にヤバくね?
「うぅぅ……ア○パ○マンがいれば、こんな奴ぬっ殺してやるのに……」
正確にはア○パ○マンの顔を食べればだけど。
あ、あかん。視界がぶれてきた。三沢さんが三人に見えるよ?
うぅ、空腹には勝てなかったよ……。
ふと、脳を刺激する匂いが尾行を擽った。
犬でも見落としてしまいそうな微かな匂い。しかし僕の鼻はこの匂いを捉えた。
――これは、食べ物の匂い……?
匂いのする方角を見れば、可愛いうさぎさんがプリントされたお弁当箱の姿が。
引っくり返って中身が地面にぶちまけられているけれど、僕の目には金以上の魅力的な姿に思えた。
ずりずりと這いずりながらお弁当の元に向かう。もう立ち上がる力さえないね。
「グギュァァァアアアアアアアアアッッ!」
だから、トトちゃんうるさいって。
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