第二章 非平凡な非日常
54、憑依と復讐者
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「うん、知ってる。でもね、私はお願いしに来たんじゃなくて、交渉しに来たの」
彼らの目の前につきだすのは、銀からもらったあの書類。
あー、しわくちゃになってる。
「ここに、これから復讐者が向かうであろう犯罪者たちが載ってる。解放してくれないって言うなら、こいつらを全員、復讐者の手の届かないところに隠す。どうする? 300人近くいるけど?」
「ナゼソレヲ持ッテイル」
「知り合いにね、この世に知らぬことなしの情報やがいるの」
だって銀は神様だもん。
神のみぞ知る、なんて言葉の神そのものだからな。
「…………デハ、条件ヲ出ス」
「条件?」
「マズ、六道骸ノミヲ仮釈放シヨウ。二人ダケデ一週間以内ニソノリストニノル人間ヲ捕マエロ。ソレガデキレバ残リノ二人モ釈放スル。デキナケレバ、貴様ゴト最下層ニ投獄スル」
うわお。
条件だなんて、ある程度は覚悟していたし、最下層だって覚悟していたが、これは驚きだ。
一週間以内にたった二人だけで約300人を捕まえるとか、鬼畜業だな。
しかもあれだ、世界中をだ。
「無理……ですよ」
「骸!?」
「ふーん、起きたんだ」
「僕達のために君が捕まる必要はありません」
「OK、その条件呑んだ」
「少し僕の話を「悪いねぇ」……!」
「私ってお人好しだし、それに仲間を見捨てる奴はクズだと思ってるから」
にっこりと微笑む。
骸は、驚いた顔を見せていた。
「デハ、六道骸ヲ解放スル」
重い音がして、骸の首から枷が外れた。
そして、犬と千種をつれて、復讐者は姿を消した。
その場からようやく消え去った重い空気に、オレは安堵の行きをついた。
「さてと」
ブレスの補助を借りて骸を背負う。
ちらりと、沢田を見た。
「さようなら、沢田綱吉。二度と私と出会わないことを祈りなね。Arrivederci」
そのまま、オレは窓から飛び降りた。
本当は恭も連れて帰りたかったが、そんなことしたら正体をバラしてるのも同然だから諦めた。
着地したオレは、全速力で家へと一直線に走った。
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