第六十二話 十二時の決戦その四
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「そうしましょう」
「四人で。ただ」
ここでだった、大石は彼の顔を見てだった。
そのうえで厳しい顔でこう言ったのである。
「しかし」
「俺は戦うよ」
「あくまで、ですね」
「ああ、そうするよ」
中田は軽い調子のままだった、今も。
だがその目の光は確かでそれを見返して言ったのである。
「俺はな」
「そうですか。それでは」
「まあグラウンドの中でお互いに剣を出すまではな」
「それまでは、ですね」
「敵じゃないからな」
だから今は、というのだ。
「お互い穏やかにいこうな」
「私も今は戦うつもりはありません」
大石も中田にこう返す。
「それは。ですが」
「やっぱり俺にはなんだな」
「退けないですね」
「退けたらいいんだけれどな」
口の端を歪めて自分自身に対してシニカルに笑って言う。
「俺にしてもな」
「そうですね」
「けれど事情があってな」
その事情はここでも言わない、だがそれでもだった。
中田は先にグラウンドに向かった、その中に。
そのうえで上城に対して背中からこう言った。
「じゃあ待ってるからな」
「はい」
「お互い恨みっこなしで行こうな」
「ええ、それじゃあ」
「十二時になったらはじめような」
剣士の戦い、それをと話してだった。
「その時にな」
「はい、では」
「恨みっこはなしだぜ」
中田は笑って言う。
「本当にな」
「恨みですか」
「ああ、それはなしでな」
こう上城に言う。
「苦しまない様にするさ、いざって時は」
「僕はその貴方を」
「止められるならな」
止めてみろ、こう返した。
「まあそういうことでな」
「わかりました」
中田は先にグラウンドに入った、そして。
上城は高橋に顔を向けてそのうえで他の剣士達のことを問うたのだった。
「あの、他の人は」
「俺達以外の剣士だね」
「中田さんは中に入られましたけれど」
「今のところは俺達だけだよ」
「そうなんですか」
「ああ、そうだよ」
こういつもの調子で言うのだった。
「まだな」
「五人ですか」
「後の剣士も来るさ」
「十二時までにはですね」
「絶対にね」
微笑みはあったが目は顔程笑っていない。
「来るよ」
「戦う為に」
「どの剣士も適えたいものがあるからには」
「絶対にですね」
「来るさ」
上城に再び話す。
「そして戦うよ」
「その戦いを僕達が止めるんですね」
「極力殺さない様にする」
工藤はこう上城に話した。
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