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久遠の神話
第六十二話 十二時の決戦その一
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                    第六十二話  十二時の決戦
 上城は十一時近くになって家を出た、その玄関には。
 中田がいた。その後ろには彼の愛車ワルキューレがある。
 そのワルキューレを背にしてそのうえで上城に笑顔を向けて言ってきた。
「乗ってくかい?」
「あれっ、どうしてここに」
「迎えに来たんだよ」
 こう言ったのである。
「君をさ」
「けれど僕達は今から」
「戦うっていうんだな」
「はい、それでもなんですか」
「確かに俺達は剣士でな」
 それでだと言いはする。
「敵同士だよ」
「今から本当の意味で殺し合うんですけれど」
「それでもだよ、俺は君が嫌いじゃないんだよ」
「だからですか」
「そうさ。後輩っていうか友達だよな」
 そうした彼だからだというのだ。
「一緒にって思ってな」
「そうですか」
「それでどうするんだい?乗るかい?」
 上城に対してあらためて問う。
「それならヘルメットもあるぜ」
「乗るのは少し」
 上城は難しい顔で答えた。
「何か図々しいですから」
「遠慮はいらないんだけれどな」
「けれど一緒に歩いていくのなら」
 それならというのだ。
「お世話になりませんし」
「じゃあ一緒に歩いて行くか」
「はい、それじゃあ」
「わかったよ、じゃあな」
 中田は上城のその言葉を受けた、そしてだった。
 ワルキューレに目をやってそのうえで言った。
「悪いけれどこいつを君の家の玄関の前に置いておいていいかい?」
「ガレージがありますよ」
 上城も微笑んで返した。
「そこに入れてもらえますか?」
「ガレージに入れていいのかい?」
「はい、どうぞ」
 彼から見て左手の天井があるガレージを見て中田に告げる。そこには一台の青い車と二台の自転車がある。
 その中に入れてくれ、こう中田に言ったのである。
「そうして下さい」
「何か悪いな」
 今度は中田が謙遜した、苦笑いでの言葉だ。
「ガレージ使わせてもらうなんてな」
「いえ、これ位は」
 その中田にいいと返す。
「遠慮なさらずに」
「そう言ってくれるか」
「はい、じゃあ」
「じゃあ帰って来るまでな」
 その時までというのだ。
「ガレージ使わせてもらうな」
「そうして下さい」
「じゃあな。まあお互い生き残るかどうかはわからないけれどな」
 先程とはまた別の種類の苦笑いになって言う。
「それでもな」
「使われますね」
「折角の気持ちだからな」
 上城のだというのだ。
「それに何かそこまで言われるとな」
「遠慮はですね」
「ああ、これ位はいいかなってな」
 そう思ってだというのだ。
「置かせてもらうな」
「そういうこと
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