第四十八話 文化祭の準備その十八
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この日は部室で寝ることにした、琴乃達もだった。
五人で顔を見合わせてだ、こう話した。
「それじゃあ私達も」
「そうね、かなり飲んだり」
「それじゃあ今日は」
「このままここでな」
「寝ようね」
「寝袋か毛布を使って寝なさいね」
部長は五人だけでなく部屋で寝ると聞いた全員にこのことは注意した。
「いいわね」
「風邪をひくからですね」
「だからですね」
「お酒を飲んでる時こそよ」
今は酒で身体が温まっている、だがというのだ。
「すぐに身体が冷えるからね」
「そうですね、お酒を飲んだ後ってよく風邪をひきますから」
「飲んでいるうちに」
「そう、しっかりとね」
寝袋か毛布で身体をしっかり守ってだというのだ。
「風邪をひかない様にしてね」
「わかりました、それじゃあ」
「そうします」
「風邪をひいたらシベリア送りよ」
部長は恐怖の言葉も出した。
「いいわね」
「わかりました、シベリアですか」
「風邪をひいたら」
「八条商事が今シベリアへの人材募集してるらしいから」
八条学園の系列会社のこの企業がだというのだ。
「そこに連絡つけて送り込むわよ」
「本当にシベリア送りになるんですか」
「冗談抜きで」
「そう、シベリア開発に取り掛かっているらしいから」
部長は言う。
「私もそうだけれどね」
「わかりました、流石にシベリアには行きたくないですから」
「あそこには」
問答無用の流刑地だ、ドフトエフスキーも流され孤独な期間を過ごした。もっともその程度で済んだ彼はまだ幸せだったが。
「ご先祖様の苦労は味わいたくないですから」
「悲劇再びには」
「あんなところ好き好んで行く場所じゃないわよ」
部長自身もこう言う。
「究極の流刑地だからね」
「ですよね、じゃあ風邪には気をつけて」
「今から」
「そうよ、あったかくして寝てね」
言いながらだ、部長は早速寝袋を出してきていた。
そのうえでだ、副部長にこう言うのだった。
「あんたも入る?」
「その寝袋一人用でしょ」
「私小さいからもう一人入るかも知れないわよ」
「いいわよ」
部長は微笑んで副部長に応えた。
「これまで何度もあったじゃない」
「一緒に寝たっていうのね」
「去年だってそうじゃない」
「まあね」
それはその通りだとだ、副部長も頷いて認める。
「文化祭でも修学旅行でもね」
「そうでしょ、だからね」
いいと話す部長だった。
「いいじゃない」
「ううん、だったら」
「私はいいからね」
部長は無問題だというのだ、ここでも。
「ほら、それじゃあ」
「いや、やっぱり狭いでしょ」
副部長は寝袋に入ってから手招きをする部長に応えた。
「だからいいわ」
「あんたはあんたで寝るのね」
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