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ネギまとガンツと俺
第19話「惚れ薬」
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もりはないらしい。というか長瀬さんと龍宮さんは一体なんでついてきてたんだ? 別に古さんのように手合わせをしたいわけではなさそうだが。

 ――単なる興味本位ってところか?

 怪訝な顔になったタケルに、今度は楓が言う。

「拙者とマナは少しでもタケル殿の実力が見たいだけでござるよ」
「あ、そう」

 ――なんだろう。この娘たち、人の心でも読めるのか?

 見事なまでに心の中の思考を答えてくる目の前の生徒達に、「なんてそこまで鋭いのに俺の実力を勘違いするんだ?」とか思ってみたりする。

「さ、早くするアル!」

 どうあっても譲る気はないらしい。彼女達が扉と窓の前に立ち目を閉じた。

 そしてタケルも覚悟を決める。

 だったら俺は――

「……上等だ」

 早速ガンツスーツを装着し、制服をその上から着込む。コントローラーを手にして。

 ――絶対に逃げてやる。

 スイッチをオン。ステルスが作動。周波数が変わり、人の目に映らなくなる。

 あとは部屋の隅に縮こまっていれば、勝手に彼女達がタケルの不在に気付く。そして部屋の外へと駆け出していくことだろう。

 ――と、思っていたタケルはすぐにその考えが甘かったことを思い知らされた。

「む、先生いないアルよ!?」
「いつの間に……いや、だが気配は……どうなっているでござるか?」

 たじろぐ彼女達。ここまでは予想通り。

 だが。

「いや、私の目にはしっかり映っているぞ、大和先生!」

 マナの見開いた左目が、見えないはずのタケルにしっかりと注ぎこまれていた。その視線を追って、クーと楓も気配を察知する。

 完全に見られている。最早、ステルスは意味をなさなかった。

「……うそだろ」

 ――ば、バケモノか。

 呟き、うなだれて姿を現す。

「やっとあきらめたか、先生」

 フッとマナが呟いた瞬間がタケルの唯一の好機だった。

「――なんて、な!」

 一足飛びでマナを飛び越え、最初から開け放たれていた窓に足をかける。そのまま彼女達の姿に一瞥もくれることなく飛び降りた。

「しま……」

 最後の最後に油断してしまった龍宮の声が、遠ざかる。

 着地。

 同時に、足元から蒸気が噴出され、タケルの足を無事に保護する。

「よし」

 そのまま、逃げるように駆け出した。




 一方、部屋の中。

「しまった!」

 逃げられたアル! と騒ぐクーを他所に、楓とマナは行動を起こしていた。

 ――タケルが飛び降りたと同時。


 楓は窓に駆け出た。


 マナはバッグを放るように投げ、そこから一瞬でスナイパーライフルを取り出した。


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