Introduction
第三話 邂逅
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…それにウサミミ?」
僕がこの日、工作の時間に出された課題で作ったもの。
ある目的で、何か動物をモチーフにした物を作るという課題だった。
「うん、『一番大切な人』への贈り物を作りなさいって言われたから。僕の初めての友達のために作ったの」
そう、僕に初めて『笑顔』を見せてくれた友達である束さんのために。
ちなみになぜウサギかというと興奮するとぴょんぴょん跳ね回ることがよくあるから。
「大切な……人……、ぅ…うぁ、しーちゃぁぁああん」
泣きながら僕に抱きついてくる束さん。
いつもは笑顔を振りまき、僕をときどき振り回してきた束さんが、この日初めて泣いた。
思い返してみれば、人の『涙』を見たのもこのときが初めてなのかもしれない。
しばらくそのまま泣き続けた束さんは、ようやく落ち着いたのか僕を解放する。
「ふぅ、ありがとう、大事にするね。ところでウサギさんなのは束さんがウサギさんみたいに可愛らしいからかな? 嬉しいな!」
いつもの調子に戻ってきたようだ。本当の理由を言わずに良かったと思う、うん。
「束さんが喜んでくれてよかった。でもなんでISがいらない子なんだろうね。世界中のミサイルが飛んできてもこのISなら一機で全部落とせそうなのに」
今思えば、この発言が全ての引き金だったのかもしれない。
「全くだよ、失礼しちゃうよね! ん? ……ミサイル……ハッキングして……ちーちゃんが……そっか、そうだよ! しーちゃんありがとう! こうしちゃいられない。あ、しーちゃんも今度手伝ってね!」
そう言いながら慌てて束さんは帰ってしまう。
その後、何度か束さんの部屋(というより研究室と化していた)に招かれ、いろいろ教えてもらいながら作業を手伝った。
それがハッキング技術だと知ったのは随分後の事だ。
そして一ヶ月後、事件は起こる。
後に『白騎士事件』と呼ばれる一大事件。日本を射程距離内とするすべての軍事基地のコンピュータが一斉ハッキングにされ、そこから放たれた2000発以上のミサイル群を、たった一機のISが全て撃墜した。
そのISを脅威と判断した各国より捕縛、もしくは撃破を目的として軍事兵器を送り込まれるが、それらも全て無力化される。『死者0』という圧倒的実力差を残して。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……昔の夢を見るのも久しぶりだ。
あの白騎士事件を境に女尊男卑が進み、僕の西園寺家での立場もより悪化していったんだ。
束さんに会えていなかったら、僕はもしかしたら今みたいに笑うことすらできなかったかもしれない。
でもやっぱり白騎士事件が起きたのって僕のあの一言があったからだよね……。
いつの間にか子供が世界規模の犯罪者
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ