Introduction
第三話 邂逅
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折反応を返してくれた。
その中で、たまに僕ら自身のことについて話をすることもあったが基本的には束さんが現在創り上げようとしている、『インフィニット・ストラトス』についてが大部分を占めていた。
とはいっても、僕も出会った日に読み取れたことは僅かしかない上に、彼女に口出しできるわけではないのでただ彼女の話を聞き、それに素直に感想を述べていたに過ぎない。千冬さんより少しは議論ができる程度だ。
でも、束さんの話は新鮮だったし、目の前のディスプレイに広がる世界はそれを夢物語でなく現実たりえることがなんとなくわかったし、それに純粋に驚き、興奮する僕の反応を彼女は喜んでくれた。
初めて出会って一ヶ月ほどしたころ、いつものように公園で束さんと会えたのだが少し様子が違った。
ブランコに座って、手元には端末。その姿は出会った時そのままだったが、しかしあの時と違ってその手は動いておらずただ握りしめているだけだ。
「…………」
どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出していたものの、それ以上に何があったか気になったので僕は気にせず話しかけることにした。
「……どうしたの?」
僕の言葉に応えるように、こちらに向けた顔はあの時の『笑顔』ではなく悲しそうな『無表情』だった。
表情からは何も感じない、でもその眼はなぜか悲しそうに感じた。
「しーちゃんと一緒に作ったISがね、『いらない子』って言われちゃった……」
「いらない……子……?」
なぜかその言葉が強く印象に残る。
『いらない子』
周りに避けられ、独りでいる僕は『いらない子』なんじゃないか。よくそう考えていた。
これはこの後知ったことだが、束さんはこの日ISを全世界に発表したが国の有識者を名乗る老害によってその性能や存在意義を否定されていた。結果、全世界はこれを黙殺し、見向きもされなかった。
僕にISについて語る束さんは本当に楽しそうだった。それをこの日、全て否定されていたのだ。
「ISは、いらない子じゃないよ!」
「しー……ちゃん?」
僕は思わず語気が強くなった。そう言うことで、僕はいらない子なんかじゃないと思いたかったのかもしれない。
「だって、ISは世界を変えるんでしょ? ならそれを作った束さんが、僕たちが信じてあげないと!」
現実を知らないから言える子供の言葉。
でも、今の僕でもこう言っているかもしれない。
束さんはその言葉を聞くと何かを考えるようにまた俯いてしまった。
「あ、そうだ。これ僕が作ったんだ、束さんにあげる」
そう言って、僕は鞄の中から袋を取り出して、束さんに渡す。
一瞬驚いた様子だったが、束さんはそのまま受け取り中身を取り出しさらに驚いた表情を浮かべた。
「ヘアバンド…
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