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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第三話 邂逅
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ボット?」

 そこに記された、名前らしきものとプログラムから浮かび上がるイメージを自身の語彙力の中で一番しっくりくる単語を呟いた。
 すると、さっきまで完全に無反応だった彼女は急に顔を上げ、こちらに向けた。

「……君、これがわかるの?」
「うん、なんとなくだけど。……すごいね、空も飛べるし……宇宙でも動けるんだ」

 応答しながら端末を眺めているとそこに表示されている情報から機能が少しだけわかった。
 既存のプログラムとは違う、特殊なものだったけど何故かわかった。
 僕は昔から、こういうことがよくある。運動も、勉強も、わずかな時間でコツを掴みできてしまう。
 僕の中の小さな世界ではそれは当たり前だと思っていた。でも、他人と関わりを持たざるを得ない年齢になるにつれ、それが誤りだと知った。そして僕は浮いた存在となる。

 一方で、この時僕はその機能に少なからず興奮していた。空……、そして宇宙。
 いつからだろう、空に憧れたのは。独りで公園に足を運んだときは決まって空を見上げていた。
 どんなに周りから浮いて、独りになっても僕は西園寺という籠からは出られない。西園寺の加護がないと生きられない子供だからこそ抱いてしまった、しかしそれは子供らしからぬ諦め。
 ……でも純粋に、空を飛びたい、と出てきた願いは皮肉にも年相応のものだった。

「そっか、わかるんだ……えへへ。ねね、君の名前は?」
「さいおんじ……しおん」

 彼女はなぜか嬉しそうにしている。
 

「そっか、しーちゃんだね! 私は篠ノ之束さんだよ」
「しー……ちゃん?」
「うん、しおんちゃんだからし〜ちゃん。変かな?」

 そんなやり取りすらも、彼女は楽しそうにしている。先ほどの無表情な女性と同一人物とは思えないほどに、表情豊かに。

「でも、ぼく男だよ?」
「え〜、しーちゃんはしーくんなの? そんなに可愛いからてっきり……、う〜んでもやっぱり可愛いからしーちゃんでいいんじゃないかな、いいよね!」

 無茶苦茶だ。でも僕もなんだか楽しくなってきてしまった。

「……うん、いいよ」

 気が付くとそう答えていた。

「えへへ〜、よろしくね、しーちゃん!」

 そう言った彼女の顔は、僕が生まれて初めて見た本当の『笑顔』というものだった。
 この後すぐに、ISでは男の僕は飛べないことを知るが、それは関係ない。
 ただ、彼女の『笑顔』がそこにあるなら僕は嬉しかった。



 それから僕と束さんは日時は特に決めていないにも関わらず、度々公園で同じように会っていた。
 そこはほとんど二人だけの空間だったが、たまに『織斑千冬』という束さんの親友も加わった。彼女は二人の話の内容はよく理解していないようだったが、耳を傾けながら時
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