Introduction
第三話 邂逅
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鍵なんて……ほら、ちょいちょいと」
この人は何こんなところで犯罪スキルを使っちゃってるの!?
「ほぉ、これはまた……大きさ、形ともに申し分ない……それでいてほっそりとしつつも適度に引き締まった完璧なスタイル……紫音ちゃん恐るべし」
「は、早く出て行ってください!」
変態か、この人は! あ、変態はどっちかというと僕か……、いや僕は変態じゃない! あー、だからそうじゃなくて……。
「あはは、ごめんごめん。もう出ていくから、可愛い声も聞けたしね」
そう言って楯無さんは出て行った。
まったく、あの人は! やっぱり油断できない。それに可愛いとか……。
ん? あの人さっきなんて言った? 可愛い……声?
僕の……? 僕どんな声あげてた……?
『キャーー!』
ははは……男の僕が……キャーーって……。
しかも、これ素だったよ……、たった一日で……ああ……。
そのあとは頭が真っ白になって覚えていない。
「し、紫音ちゃん? ごめんなさい、そんなに驚くと思ってなくて。だから泣かないで〜」
気づいたら布団の中で不貞腐れている僕に楯無さんが何を勘違いしたのか必死に謝っていた。
「……今度やったら絶交です」
「わ、わかったわ……ほんとにごめんなさい」
やっぱりこの人は油断できない!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
僕があの人に出会ったのは9年前。
このとき、既に周りから浮いていた僕はいつものように独りでいた。
普段は本を読んだりして家にいることが多かった僕は珍しく公園に向かっていた。それに特別な理由はない。なんとなく外に出てみようと思い、近くにあるのが公園だった、その程度だ。
いや、敢えて挙げるなら子供が滅多にいないから落ち着く、といったところだろうか。
しかし、そこには先客がいる。
高校生ぐらいの女性だ。ブランコに座ったまま手元にある端末をひたすら操作している。
ここはブランコと滑り台しかない。その日は滑り台という気分ではなかったので、必然的にもう一方の選択肢であるブランコに向かうことになる。幸い、ブランコは二台一組のため、一台分は空いていた。
「……お姉ちゃん、何してるの?」
しかし、何故かそのとき僕は声をかけていた。普段の僕だったら見知らぬ他人に自分から声をかけるなんて絶対にしなかっただろう。でも、その女性からは周りの人間とは違う雰囲気がした。その彼女がそんなに必死に何をしているのか気になった。
「…………」
しかし、返事はない。おそらくは聞こえているが敢えて無視しているように感じる。
僕も気にせず近寄り、彼女が凝視している端末のモニターに目をやる。
「いんふぃにっと……すとらとす……ロ
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