第5話:ハイジャック事件−5
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圧に乗り出していたら、多数の負傷者を
出していたのはウチの方だったかもしれませんしね」
肩をすくめてゲオルグが話すと、ネオンは少し身を乗り出す。
「それなんですけどね、ひとつ疑問があるんですよ。
ミッドチルダ中央次元港の警備部隊といえばそれなりの精鋭部隊ですよね。
それが突入時にあれだけの負傷者を出して為すすべもなく撤退に至ったというのが
不思議でならないんです。 なんでなんですか?」
「それはハイジャック犯の行動が管理局の想定を上回るものだったからですよ」
「なんか抽象的ですね。 もう少し具体的に教えていただけませんか?」
ネオンの質問を受けてゲオルグは視線を宙に彷徨わせて考えると、
ゆっくりと話し始める。
「管理局内部には民間の公共交通機関が乗っ取りを受けた場合の
対処マニュアルってのがあるのはご存知ですよね。
それによれば、乗っ取り事案については人質を安全に保護することを最優先に
強行突入による迅速な解決を第1選択とすることになっています。
この背景には、犯人グループが別働隊を組織して別方向からの攻撃を
突入部隊に加える、といったケースが想定されていないんです」
ゲオルグの言葉にネオンは首をひねる。
「それがおかしいとは僕には思えないんですけどね」
「ええ、おかしいとは言ってませんよ。
ただ、このマニュアルの存在と中身、マニュアルに依存している
警備部隊の実情を知っている者が犯人グループにいればどうですか?」
ゲオルグの言葉にネオンは納得顔で深く頷く。
「なるほど。 その状況を当然逆用しますね。
つまり、シュミットさんは今回の犯人グループに管理局の内情に詳しいものが
いると考えているわけですね?」
「まあ、そんなとこです」
ゲオルグは苦笑しながらそう言うと、グラスの中身に口をつける。
その動きに合わせるようにネオンも自分の前のグラスの中身をぐいっと煽った。
「いやー、いつもながら興味深いお話をありがとうございます」
「そう言ってくれるのはネオンさんくらいですよ。
ところで、最近の第73管理世界の情勢はどうなんですか?」
ゲオルグの問いかけに、ネオンはグラスを置いて真剣な表情をつくる。
「少しずつではありますけど、悪くなる一方ですね。
管理局の警備体制はまた一段強化されて、新しく第228陸士部隊が
ミッドから投入されていますけど、治安の改善効果はほとんどないようです」
ネオンの抑えた口調での話に耳を傾けているゲオルグの表情は
冴えないものに変わっていく。
「228部隊が投入されたのは聞きましたけど、効果はなかったんですね。
となると、独立派の動きもさらに活発になって
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