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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第5話:ハイジャック事件−5
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浮かべてチンクの頭に手を乗せる。

「頼もしいのは助かるんだけど、今からそんなに気を張ってちゃ持たないぞ。
 俺だって鬼じゃないんだから、最初から全てを期待しちゃいないよ。
 マイペースでやってくれればいいから」

ゲオルグの言葉を聞き、チンクは何度か目をパチクリさせると小さく頷いた。

「助かる。 言葉に甘えてそうさせてもらう。ではな」

そう言ってチンクはゲオルグが向かうのとは逆方向に向かって歩いていった。
一方ゲオルグはチンクの背中を見送ると、玄関に向かって歩き出す。
車に乗り込み、ゲオルグは車をクラナガンの中心部に向けて走らせはじめる。

郊外へと向かう車で混雑する対向車線を尻目に、中心街へと向かう
ゲオルグの車は快調に高架道路を走り抜けていく。

30分ほどで繁華街近くのパーキングに車を停めたゲオルグは、
界隈のメインストリートを歩く。
洒落た服装の人々が闊歩する中を茶色い制服で行く姿は目立つ。
とはいえ、近くには警防署もありさほど珍しいものでもなく
ゲオルグはなに食わぬ顔で歩いていく。

5分ほど歩いたところで、ゲオルグは細い路地に入る。
そこは煌びやかなメインストリートとは打って変わって、
少し薄暗い、だが雰囲気の悪さは感じない落ち着いた空間だった。
そしてゲオルグはあるビルの地下へと降りる階段を下りていく。
その先のドアを開けて中に入ると、そこはこじゃれたバーだった。

ゲオルグはそれなりに客のいる店内を歩いてカウンターへと向かうと、
カウンターの向こうにいるマスターに声をかけた。

「やあ、マスター」

「いらっしゃい。 お連れさんならもう奥にいますよ」

微笑を浮かべたマスターがそう言うと、ゲオルグは僅かに目を細める。

「そう。 じゃあ、いつものを奥に頼むよ」

「かしこまりました」

慣れた口調でそう言うと、ゲオルグは片手を上げて店の奥にある小部屋へと入る。
そこには一つの丸テーブルを囲むように4つの1人がけソファが置かれた部屋で
そのうちの1つには背広をだらしなく着崩した男−ネオンが座っていた。

「どうも。 少し遅くなってしまって申し訳ない」

ゲオルグがネオンの対面に座りながら声をかけると、
ネオンはニコッと笑って会釈をする。

「いえいえ。 僕も少し早く来すぎてしまいましてね」

「いつもはネオンさんが遅れてくるのに、珍しいじゃないですか」

「実は、ハイジャック事件の担当を外されましてね。
 デスクにサッサと取材に行けって社を追い出されたんで、
 早めにここに来たんですよ。これも大事な取材ですから」

話している内容とは対照的に、ネオンの表情は明るい。

「正直言って、今回の事件について一番情報を握ってる
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