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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第5話:ハイジャック事件−5
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甘えんぼうのガキなんかはいらないんだよ」

ソファの深く腰を下ろし、冷たい口調で言うゲオルグの顔を
ティアナは呆然と見つめる。

「ゲオルグさん・・・」

ティアナが蚊の鳴くような声で呼ぶのをゲオルグは無視する。

「自信がなくてやれないっていうならそれで結構。 他の人材を探すだけだ」

突き放すような口調で言い放ったゲオルグは足を組んでティアナをジッと見つめる。
その冷たい視線に耐え切れずティアナは再び肩を落として俯く。

(あたし、何やってんだろ・・・)

ティアナはこれまでの自分が歩んできた道を振り返る。
フェイトのもとで執務官補を務め、試験に合格して執務官になり、
それなりの数の事件を解決に導いてきた。

(悔しい・・・)

ティアナは己の唇をきつく噛み締める。

(こんなとこで負けてらんないのよ! アタシは!!)

そしてキッと鋭い目でゲオルグの顔を見る。

「やります」

「・・・本当にいいのか? キツイぞ」

「覚悟は出来てます」

断固とした口調で言うティアナの顔をゲオルグはジッと見る。

「わかった」

しばらくして、ゲオルグはそう言うとフッと表情を緩めた。

「言ったからには死ぬ気で付いて来い。 プロとしてな」

そしてゲオルグは微笑を浮かべる。

「どうしてもダメなら遠慮なく言え。 助け舟は出す」

そう言うとゲオルグはティアナに向かって再び手を差し伸べる。
今度はガシっとティアナがそれを掴む。

「ようこそ、特殊陸戦部隊へ」

「はい、よろしくお願いします!」

そして、ゲオルグとティアナはお互いに笑いあった。





夕方・・・。
ティアナと別れたあと、クリーグのフォックス分隊の訓練に参加し、
部隊の翌年度予算についての会議に出席したゲオルグは、帰り支度を始める。
上着を羽織り、カバンを手に持って部屋を出ると、ちょうど前を通りかかった
チンクとかち合う。

「ん? もう帰るのか?」

「ああ、今日は例の記者さんとの情報交換会でね」

ゲオルグが答えるとチンクは首をひねって何かを思い出そうとする。

「確か・・・、クラナガン・テレグラフ紙のネオン記者だったか?」

「正解」

「判った。 あとは任せておけ」

チンクは凛々しい表情でゲオルグに向かって頷く。
その頼もしい反応に、ゲオルグは意外そうな表情を見せる。

「あれ? いつもの文句は出ないな」

ゲオルグがそう言うと、チンクは目線をそらして頬をかく。

「私もいつまでもクレームをつけるだけではダメだと思ってな。
 来月からはゲオルグの代理を務める場面も増えるだろうし」

チンクの反応を見たゲオルグは、微笑を
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