第5話:ハイジャック事件−5
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(あれ? 意外と冷静に受け止めてる?)
落ちついた口調で話すティアナにスバルは違和感を覚える。
「なんか悩んでたワリには落ちついてるね、ティア」
「そう?」
スバルの問いにティアナは小首をかしげると一気にグラスを空けて、
店員に次のドリンクの注文をする。
話をしている最中に既に一杯空けているので都合3杯目。
そこまで酒に強くないティアナとしては早いペースであり
その顔はほんのり赤く染まっている。
(なんかピッチ早いなあ、ティア)
そんなことを考えているスバルもティアナと同じく2杯目のグラスを空ける。
そうこうしているうちに、ティアナの注文したドリンクが届き、
ティアナは一口飲んで、テーブルの上にグラスをドンと置いた。
「最初は理不尽なことを言われたと思ってたのよ。
でも、アンタに話してるうちにゲオルグさんが言いたかったことが
なんとなく分かっちゃって、納得しちゃったのよね」
「なにそれー。 そんなに簡単に解決するんなら、わざわざこんなとこまで
来なくても良かったじゃん」
スバルは頬を膨らませて不満げな表情を見せる。
すると、ティアナはバツが悪そうな表情を見せた。
「悪いとは思ってるわよ・・・」
そう言ってティアナは肩身が狭そうに背を丸める。
その様子を見たスバルはさすがに気が咎めたのか、ことさら明るい表情と
口調でティアナに声をかける。
「いいって! それより今日はせっかく来たんだし、楽しく飲もうよ!」
スバルの言葉に背中を押されるように、ティアナは顔を上げて微笑を浮かべる。
「そうね。 ありがとね、スバル。 あんたのおかげでなんか吹っ切れた!
さ、改めて乾杯しましょ!」
そして2人はお互いの手の中にあるグラスをコツンとぶつけた。
・・・1時間後。
「ったく・・・やってらんないっての!」
ティアナは真っ赤な顔をしてテーブルに突っ伏し、怪しい呂律で声を上げる。
その様子をスバルはため息をつきながら見ていた。
(はぁ・・・。 これ貸しですよ、ゲオルグさん・・・)
スバルはここにはいないかつての上司に向かって心中で不平を鳴らしながら、
この1時間に聞かされたティアナの愚痴を振り返り始めた。
それは、ティアナがゲオルグの部屋で特殊陸戦部隊への異動を告げられた
直後のことであった。
何か甘いものでも食べるか、とゲオルグに訊かれて頷いたティアナは、
ゲオルグの部屋にあるソファに腰を下ろして、ゲオルグの出してきたマフィンと
自分の淹れた紅茶のセットを味わっていた。
「これ、すごく美味しいですね。 どこのお店で買ってきたんです?」
思えば、ティアナのこの一言が
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