第5話:ハイジャック事件−5
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の取りざらに取り分ける。
「あたしが異動になった話って、あんたにしたわよね?」
おもむろに口を開いたティアナの言葉に対して、スバルは口の中のサラダを
飲み込みながら頷く。
「うん、聞いたよ。 ハラオウン少将のとこだったよね」
「そ、テロ対策室ね。 で、昨日テロ事件があったじゃない?」
スバルは少し視線をさまよわせてティアナの言った事件について思い出そうとする。
「えっと・・・、次元港で起きたやつ?」
語尾を上げてスバルが確認するように尋ねると、ティアナは2度首を縦に振った。
「そうそう。 でね、あの事件で特殊陸戦部隊が出動したんだけど、
捜査部が忙しくって手が回らないからって、特殊陸戦部隊が初動捜査を
担当することになってね。
あそこは執務官も捜査官もいないから、あたしが支援のために
行くことになったのよ」
「へーっ、すごいね。 特殊陸戦部隊っていえば、陸戦の精鋭だよね。
ウチにも行ってみたいって人が結構いるし。
そんなとこに呼ばれるなんてすごいよ」
スバルが素直な感嘆の声を上げると、ティアナは一瞬ニコッと笑う。
「ありがと。 あたしも呼んでもらえたときは正直嬉しかったわ」
「そりゃそうでしょ。 だってゲオルグさんの部隊だもんね〜」
スバルがニヤニヤと笑いながら言うと、逆にティアナの顔は沈んだ表情になる。
(あれ? てっきりツンデレ発動かと思ったんだけど・・・)
ティアナの反応が予想外で、スバルは笑い顔を引っ込めてティアナに声をかける。
「ねえ、ゲオルグさんと何かあったの?」
スバルがそう声をかけると、ティアナの肩がピクっと動く。
(当たりかぁ・・・)
「何があったのか話してくれないかな? 相談に乗れるかもしれないし」
スバルが穏やかな口調で言うと、ティアナは顔を上げてスバルの方に目を向ける。
その顔は話すべきか否かを逡巡しているようにスバルには見えた。
スバルはそんなティアナの背中を押すようにニコッと笑いかける。
すると、ティアナは大きく一度深呼吸をしてからゆっくりと口を開いた。
「あのね、実は・・・」
そしてティアナはゲオルグから特殊陸戦部隊への異動を告げられたときの
会話について話し始めた。
10分ほどしてティアナが話し終えたとき、スバルは自分がゲオルグから
叱られたような気分でいた。
「・・・相変わらずキツイね、ゲオルグさん」
6課時代に何度も説教を受けた身として、身につまされるような思いで
スバルは思わずティアナに向かって同情の目を向ける。
「そうね。 でも、それだけ厳しい部隊だし、生半可な覚悟ではやっていけない
ってことを伝えたかったんだと思うわよ」
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