Introduction
第二話 ルームメイト
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の問いに答えてみろ。分からないようなら一週間この授業のレポート提出だ」
世界の終りのような表情を浮かべるサファイアさん。そのまま前を向き直ればよかったけど、図らずも目が合ってしまった。当然、無言の懇願を向けてくる……。
(……4……6……7……)
無視するのも気が引けたので口パクで伝えてみる。下手な動作はすぐ横に佇む魔王に気取られる。
「よ、467ッス!」
「……ふん、救われたな」
どうやら僕の口パクを正しく汲み取ってくれたようだ。正しく答え、解放される。
「お前はあまり甘やかすな」
去り際に一言そう言いながら、軽く小突かれてしまった。……やはり気づかれていた、恐ろしい。
「た、助かったッス〜……」
そう言いながら机に突っ伏すサファイアさん。
今まで目の前にいた彼女がそうしたことで、その後ろの席の生徒と目が合う。
『更識楯無』、この学園で最も警戒すべき相手。
こちらに気づいた更識さんは、先ほどと同じようにウィンクをしてくる。僕も同じように微笑み返して前を向くことにした、というよりそれしか出来なかった。……喰えない人だ。正直、何を考えているのかよく分からない。それでいて、他の生徒より僕に対して若干意識を向けられている気さえする。
授業が終わった後、「紫音は命の恩人ッス!」とフォルテさんにやたら感謝された。大げさに思えるかもしれないけど直前の一撃や威圧を鑑みればあながちそうとは言い切れない。あ、呼び方が変わったのは彼女にファーストネームで呼んで欲しいと言われたから。
その後の授業は特に問題もなく過ぎ去り、昼休みになった。
うん、授業は……ね。休み時間のたびに僕や更識さんはクラスメートに囲まれることにはなったけど。
何はともあれ昼休み。
「紫音は昼は学食ッスか?」
「ええ、今日はお弁当作る時間もなかったので学食に行こうかと」
「それじゃ一緒に行かないッスか?」
「あら、なら私もご一緒させてもらおうかしら」
突然入り込んだ声の主はやはりというか更識さんだった。できればあまり関わりたくはないのだけど、クラスメートである以上それは無理だろう。なら少しでも友諠を結んで円滑な関係にしておくほうがいい。
「はい、是非ご一緒しましょう」
こうして一年生の全専用機持ち3名、しかも一人は国家代表という小国程度なら攻め落とせそうなパーティで食堂に向かうことになった。当然目立つが、僕以外の二人は全く気にしている様子はなく楽しげにふんふふんと鼻唄まで歌っている。
(はぁ……)
自分のためにも、この学園では目立たない程度に無難な交友関係を築こうと思っていたが、初日にしてその目論見はどちらも破られたと言える。片や代表候補生の専用機持ち、片や既
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