Introduction
第二話 ルームメイト
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言葉は厳しいが、気にかけてくれているのが伝わる。今まで誰かに心配されるということがほとんどなかった僕にとっては素直に嬉しかった。束さんは……本当に心配してくれてるのか怪しいし。
お嬢様モードに戻って偽りの口調で述べたその謝意は、僕からの本心だった。
「それから……更識には気をつけろ」
話が終わり、扉に手をかけた千冬さんは一言そう言い残して出て行った。
『更識家』
裏で暗躍する暗部組織に対抗する、言うなれば対暗部暗部の一族。その一族の当主は、代々『楯無』の名を襲名している。つまりクラスメートの『更識楯無』は更識家の現当主ということになる。
正直、男であるという核にも匹敵する爆弾を持っている僕にとっては天敵だ。ロシア代表であることや僕と同年代でIS学園に入学することは知っていたがまさかクラスメートになるとは思っていなかった。
「はぁ……」
今日何度目かわからないため息をつきながら、僕は教室へと戻っていく。
「--という訳で、現在では通称『アラスカ条約』によってISの軍事利用の禁止、情報の開示と共有、研究のための超国家機関の設立などが決められました」
山田先生により、授業が進められる。
といっても、最初の授業ということもあり内容はISに携わるものなら常識ともいえる内容。事前に配布された百科事典のような厚さの本をしっかり読んでおけば問題無かった。僕は特殊な家柄と交友関係(誰とは言わないが)により、ISの知識に関してはそうそう遅れを取らないとは思っている。まぁ、自分が操縦者側にまわるとは思っていなかったけど。
「--開発者である篠ノ之博士がコアの開発を中止しその内容も公開していないことから、現在新たなコアを開発することができず、その絶対数も限られたものとなっています。……えっと、サファイアさん? その数がわかりますか?」
「……」
指名された本人からは返事が無い。
「サ、サファイアさん……?」
山田先生が泣きそうな目でこちらを見る。それは一つ後ろの席の生徒に向けられたものだろうけど、何か自分が悪いことをした気になってしまう。
そんなことを考えている中突如殺気のようなものを感じ、思わず後ろを振り向くと、目の前あるのは死刑執行の場面だった。
「ぅあったぁ……ッス!」
断首……もとい、出席簿をその頭に振り下ろす千冬さん。……腕が見えなかった。
凄まじい音がサファイアさんの頭から鳴り響き、乙女らしからぬ叫び声が聞こえてくる。
それにしても叫び声にまで忘れずつけるなんて、その語尾は彼女のアイデンティティーなのだろうか。
「初日から居眠りとはいい度胸だ」
「い、いや寝てたように見えて実は授業ちゃんと聞いてたッスよ!」
「ほぉ、なら先ほど
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