眠れる塔の女騎士
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ティアは無表情のまま、自分が過去に戦ってきた人間を思い出す。
そして「知ってる人間は少ないわね」と呟いた(ちなみに『知っている人間』はナツとかである)。
「頼む・・・言う事を聞いてくれ・・・」
そう懇願するエルザの左目から、じわっと涙が溢れ、流れる。
それを見たナツとティアは顔を見合わせた。
「よっ」
「な・・・何を・・・」
エルザが戸惑う中、ナツはエルザを抱き抱える。
「エルザ、俺もティアもお前を全然知らねぇ」
「え?」
ナツの言葉をエルザが聞き返した、瞬間――――――
「「けど勝てる!!!!」」
2人は同時に同じ言葉を口にし―――――
「がっ!」
ナツは左拳を、ティアは右拳を、エルザの腹に叩き込んだ。
その光景に、ジェラールも目を見開く。
「・・・」
ズリ・・・とエルザの体は落ち、ドサッと床に倒れ込む。
「噂以上の傍若無人ぶりだな。身動きできねー仲間を痛めつけて満足か」
2人の背中に、ジェラールが声を掛ける。
「・・・黙りなさい。愚者が」
そんなジェラールに、ティアは殺気だけを含ませた声を響かせた。
それと同時に、彼女の体から凄まじい量の殺気が噴き出す。
「エルザが、泣いてた」
ナツが、ゆっくりと口を開く。
「弱音を吐いて、声を震わせていた」
握りしめた拳は、怒りで震えている。
「そんなエルザは見たくねぇ。エルザは強くて凶暴でいいじゃねーか」
そこまで言い、2人は振り返る。
ナツの顔は怒りで燃え、ティアの顔は無表情であり、殺気立っていた。
「目が覚めた時、いつものエルザでいてほしいから、俺達が戦うんだ」
ナツの言葉に、ジェラールは笑みを浮かべる。
「面白い。見せてもらおうか、ドラゴンとカトレーンの魔導士の力を」
その言葉を皮切りに、ナツは右拳に炎を纏い、ティアは水の剣を持ち、ジェラールに向かっていった。
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