眠れる塔の女騎士
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に瞬きをした。
「そうだ、クロノさん。もうすぐ『ナギ』の――――」
「・・・解ってる。あと3日だろ」
フッと、クロノの表情が一気に消える。
「お前の従姉妹・・・そして、俺の彼女『だった』女の―――――命日はよ」
クロノの言葉に、メープルは無言で頷く。
「早いよな・・・アイツが死んで、俺が評議院に入ってからもう6年だってよ」
「彼女のいたギルド・・・青い天馬でしたっけ。ボブさんから『顔を出すなら連絡ちょうだい』って」
ナギ。
クロノの彼女であり、メープルの従姉妹であり、青い天馬の魔導士であり、クロノとメープルが出会ったきっかけであり・・・6年前に命を落とした彼女。
「・・・んじゃ、俺ぁそろそろ行くわ。ヤジマの旦那んトコいねぇと怪しまれるし」
「はい。では3日後にまた」
そう言って頭を下げ、メープルがくるっと背を向けた瞬間。
「あ、そうだ」
今度はクロノが何かを思い出したように声を上げた。
振り返り、こてっと首を傾げる。
「この事は誰にも言うなよ?」
「この事、ですか?」
「解ってんだろ」
わざと解らないというように首を傾げるメープルに、呆れたようにクロノは苦笑する。
「俺がジークレインの正体にも、企みにも気づいていながら、それを黙認してた事だよ」
そう。
彼は初めてジークレインと会った時から、薄々は気づいていた。
コイツは普通の人間じゃない、と。
そして彼とよく一緒にいるウルティアとの会話を盗み聞いたりし、彼等の企みにも気づいた。
そこにクロノが何よりも信じているメープルの情報が入り、それは確かなものへと変わった。
が・・・それを彼は、誰にも言わなかった。
「解ってますよ、クロノさん。安心してください。私、嘘をつくのも貫き通すのも得意なんです」
メープルが微笑む。
彼女は、クロノの思考を妹のティアや弟のクロスよりも熟知している。
だからこそ協力し、だからこそ隠し通すのだ。
「それならいいや。んじゃ、またな〜」
背を向け、肘まで曲げた右手をヒラヒラと振りながら、クロノは歩いていく。
それを見届け、メープルも歩き出した。
「安心してくださいね。私は―――――――」
誰にも聞こえない声で、メープルが呟く。
その顔に先ほどまでの優しい笑顔はなく、ただ、無表情だった。
「―――――偽る事で生きているんですから」
凄まじい魔力を吸収した楽園の塔近海で、ショウは声を上げた。
「Rシステムだ」
「何!?」
ショウの言葉にグレイが驚愕する。
グレイだけではない。声は出さないが、そ
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