暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep13進むか立ち止まるか〜Decide according to your heart〜
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くて、雨が本格的に降り出してしまった。だからアリシアは早く家に帰ろうっと言ってくる。あの家、みんなが居る場所。私が思い焦がれて、ずっと望んでいた理想の家。それがそこにある。でも、帰りたくない。
「ごめん。もう少し、ここに居るから。アリシアだけでも先に帰ってて」
私が望んだものであっても、やっぱり心が受け入れてくれない。あの時間に甘えるには、もう何もかもが遅かった。
「そうなの? じゃあわたしも残ろうっと♪」
アリシアが私の元へと駆け寄ってきて隣に座る。それからどれくらい経ったのかな。それでも雨は一向に止みそうにない。
「アリシア、ひとついい?」
「うん?」
「ここは、夢の世界、なんでしょ? 私とアリシアは、同じ時間を生きられるわけない。だってアリシアがその・・・死んじゃったから、私が生まれたんだから・・・。私とあなたは同じ世界にはいない。あなたが生きてたら、私は生まれなかった」
意を決して、私はアリシアとこの世界のことについて話を始めた。それがこの世界を否定することと知りながら。私とアリシア。それは絶対に一緒に生きられない存在だ。アリシアが生きていたら、プレシア母さんは私を作ら――ううん、生み出さなかった。
「・・・そう、だね」
静かな肯定の言葉。そこには少し悲しみが含まれている気がした。
「母さんは、私にも、アルフにも・・・あんなに優しくはなかった・・・」
「ごめんね。でも、ママは本当に優しい人だったんだよ。だけど、優しかったから壊れたんだ。壊れるしかなかった、わたしを生き返らせるためには・・・ごめんね、フェイト」
「・・・ううん、しょうがないよ」
自分の世界だったアリシアを喪ったからこその暴走。リンディ提督に言ったように、もう恨んでもないし憎んでもない。
「夢でもいいじゃない。ここにいようよ、これからもずっと一緒に、この世界で。わたし、ここでならフェイトのお姉ちゃんとして生きていられる。それでいいじゃない。ママとアルフとリニス、それにルシルだって。みんなずっと一緒にフェイトの側に居る。フェイトが願った居場所も欲しかった幸せも、みんながここにある。それじゃダメなの?」
アリシアが私の手を取って、目を覗きこんでくる。そうだね。この世界は偽物でも、現実を忘れてしまえばすごく幸せな場所になれる。それは解かる。
「ごめんね、アリシア。だけど私は、帰らないとダメなんだ。行かなくちゃ、私の居るべき本当の
現実
(
セカイ
)
に」
そう、夢を見る時間はもう終わり。私は行かないと。帰らないと。みんなが戦ってるあの世界へ。
「・・・そっか」
アリシアは悲しい顔をしたあと、私に“バルディッシュ”を差し出した。でもすぐに微笑みを浮かべて私を見る。胸が締め付けられる
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