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“死なない”では無く“死ねない”男
話数その23 通らない
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が人間じゃないか否かってだけだろ? ……あえて思う事があるとするなら――――木場は運が無かった、ご愁傷さま……って所だな」
「! てめぇ!!」


 晋の余りの言い草に兵藤は彼の胸ぐらをつかもうとするが、ヒョイと避けられスカされてしまう。


「……話を聞く限りじゃ、その後に聖剣使いを作り出すのには成功してるらしいし…その実験は無駄にならなかったんだろ? ……ならいいじゃねぇか」
「でも! 使えなかったからってだけで殺されるのは許されない事だ……許しちゃいけない事だ!!」
「……それは“お前の”考えだ……“俺の考え”じゃねぇ……」
「お前はっ――――自分さえ良ければそれで良いのかよ!?」
「……あん? そんなの決まってんだろうが……自分の方が他人より何倍も大切だ…」
「このっ……!」


 果ての無い言い合いになりそうだった二人を見かねたのか、塔城が兵藤に向かって珍しく大きめの声で話しかけた。


「落ち着いてください先輩。灰原さんは最初から協力してくれる気は無いようでしたし、これ以上会話を続けても無駄だと思います」
「くそっ」
「……話は終わりって事でいいんだな…」


 言うと同時に晋は立ち上がり、最後に言葉を付け加えた。


「……覚えとけ兵藤、世の中にはこういう人間も居る、それだけだ……あばよ、これから一ヶ月は会わねぇ事を祈ってる」


 相変わらずのダルそうな表情のまま、晋はレストランを出て行く。兵藤は、唯晋の背中を睨みつけるだけだった。















 レストランから出た晋は、このまま帰っても何もやる事が無かったのを思い出し、しばらく当てもなくブラブラ歩いていた。

 と、急に空が曇ったかと思うと、小雨が降り出し、次第に強くなっていく。


(……雨…降ってきたか…)


 神器の中から傘を取り出し、それを差した晋は……唐突に後ろを振り向いた。




「……で、お前誰?」
「あ〜ららあ! 見つからないと思っていましたっつうのに見つかっちゃいましたですかぁ!? っておやおやぁ? よくよく見たら神父……では無いじゃねぇか!! 似た服着るとは、紛らわしいんのですよっての!!」
「……支離滅裂だな……お前」



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