―黒幕との邂逅―
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し普通の様子ではなく、その腕は人間の腕とは似ても似つかぬ異形の腕となっている。
「誰だお前……マルタンじゃないな!?」
「やだなぁ。ボクは正真正銘加納マルタンだよ……この身体を借りてるだけだけどね」
その様子に俺は、二年生の時にデュエルをした斎王のことを思いだす。彼も光の意志とやらに取り憑かれていたらしいが、マルタンもそのような類の物だろうが。
得体も知れない異世界に来ているのだから、もう何を考えても無駄かと思ったが、それでもマルタンを助ける方法や、ここから体育館に行く方法などの思考を巡らせていると。俺の視界に、マルタンの異形の腕がデュエルディスクになっており、そのデュエルディスクに数種類のカードが並んでいるのを捉えた。
《岩の精霊 タイタン》に《エーリアン・リベンジャー》、そして《「A」細胞培養装置》に《集団催眠》。このデュエルディスクの配置は、三沢の推測が正しければ、こいつがデュエルゾンビを操っているのだと証明していた。
「てめぇ……っ!?」
マルタンへ向けて走りだそうとした時、ロッカーの影から巨大な物体がぬっと現れた。俺の身体を掴もうとして来る巨大な物体を避けると、そのまま明日香のいる位置にまで下がる。
果たしてその巨大な物体とは。特徴的な髪型をしたデュエル・アカデミアの教員服を着た男、俺たちにデス・デュエルを強制し、十代に倒された筈の男――
「プロフェッサー・コブラ……!」
――呼びかけても答えはなく、プロフェッサー・コブラ自身の意識はない、もしくは薄弱としているようだ。十代から聞いた話によると、異世界に行く直前にあの建造物から落ちていったらしいが……生き残って異世界に来ていたというのか。
マルタンのような小柄な人間ならばともかく、プロフェッサー・コブラがこの部屋で俺たちが見回った時に隠れていられる訳がない。様子がおかしいマルタンやプロフェッサー・コブラも含め、マルタンを乗っ取っている『敵』はまさに人知を超えた存在と言えるだろう。
「この身体は心の闇が深くて心地良いんだけど……君と倒れてる彼女には、身体が抵抗して来てね。そこの彼女も、殺そうとしたのにまだ生きてるだろう?」
俺とレイを指差しながらマルタンの中にいる怪物はうそぶく。マルタンはまだ抵抗を続けている、という情報は何よりだったものの、俺の怒りを増幅させるという結果に終わる。
「不確定要素は消しておきたいからね……君たち二人はデュエルゾンビにもならず、ここで消えてもらおうか」
マルタンの中の怪物がそう言うと、プロフェッサー・コブラが教員用のデュエルディスク・コートを起動させ、マルタンの中の怪物を守るように前に立ちはだかる。
「彼に勝ったら……そうだな、デュエルゾンビを止めてあげようか
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