第四十一話 次なる難題
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に、そう思ったよ。作戦失敗も止むを得ない、運が無かったと思った。直ぐに運ではないと教えられたがね」
「……」
ヤン准将が顔を顰めた。
「偶然なら問題は無かった、だが貴官達が要塞内に潜入すると向こうは、いやブラウンシュバイク公は見破っていたようだ。そこが信じられない。あの作戦は奇策だ、正攻法ではない。なぜそれを予測することが出来たのか、そしてリューネブルク大将をイゼルローン要塞へ配備、余りにもタイミングが良すぎる……」
「確かに……」
ブラウン、ウィンクラーも頷いている。
「ブラウンシュバイク公を甘く見るつもりは無い、彼の恐ろしさは良く分かっている。しかしそれでも思わざるを得ない、そんな事が可能なのかとね。もしそれが真実なら我々は人間以外の何か、化け物を相手にしているようなものだろう」
「つまりそれが我々への疑いになる……」
俺が確認するとヤン准将が頷いた。
「そういう事だと思う、皆恐れているんだ、ブラウンシュバイク公が見破ったと認める事を、何かの間違いだと思いたがっている」
「……」
「貴官が裏切ったと確信している人間は少数だろう、大多数が確信を持てずにいるはずだ。だがブラウンシュバイク公が見破ったと信じる事も出来ない、だから消去法で貴官達に疑いが行く」
亡命者だからといって疑われたわけではないという事か……。状況はむしろ深刻だな。
「シェーコップ大佐、貴官は自分の無実を示す物証を持っているかな?」
「いや、そういう物は有りませんな」
俺が答えるとヤン准将は頷いた。
「ブラウンシュバイク公が見破ったと言うのもリューネブルク大将の言葉だけだ、何の物証も無い。どちらか物証が有れば真実が明らかになる。しかし現状では真実を示す物は何もない、その事が事態をより複雑で厄介な物にしている」
真実が見えない、疑心暗鬼になっている、そういう事か……。
「シトレ元帥、或いはクブルスリー大将に会うことは出来ますか?」
「貴官自ら自分の無実を訴えたいという事かな? 説得したいと」
「そうです」
ヤン准将が首を横に振った。
「無駄だろう、事は軍だけの問題では無くなっている」
どういう事だ、思わずブラウン、ウィンクラーと顔を見合わせた。二人も准将の言葉に驚いている。軍だけの問題では無い? まさか……。
「ここ近年、同盟軍は敗北続きだ。当然だが敗北は政権の支持率にも影響を与える。今回の作戦には政治家達もかなり関心を持っていたらしい。そしてブラウンシュバイク公が見破ったという事に疑問を抱いている……」
「……」
「クブルスリー司令長官は分からないがシトレ本部長は貴官達が裏切ったとは思っていない。しかし先程言ったように貴官らの潔白を証明する証拠は何もない。政治家達にそれを言われればどうにもならない」
「だか
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