暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep11悪夢の幕開け〜Tragedy〜
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その神器だ。
「ふむ、此度の演劇においてはどうやら私は脇役のようだ。さて、剣を携えし娘よ、命に保険は懸けたかね?」
何あの口調? 演劇とか脇役とか意味が解からない。とにかくやることは変わらないから、「上等!」私は瞬時に間合いを詰め、“キルシュブリューテ”を一閃する。
「フフ」
――クリーチャーチャンネル(エス)――
ズェピアが纏っているマントに覆われた。防御でもするのかと思ったんだけど、彼はそこから姿を消していた。私の斬撃は空を斬り、勢いを殺せず踏鞴を踏んだ。
「フェイク!」
――シリーニュース(マリス)――
声は私のすぐ真後ろから聞こえたから、考えるより先に前へと跳んだ。視線の端で捉えたのは、足下から延びる黒い爪の斬撃だった。
「ほう」
「なるほど、確かに“気を付けろ”ね」
再度対峙する私とズェピア。“キルシュブリューテ”による直接攻撃は少し見直した方がいいかもしれない。だったら彼の間合い外からの攻撃をすればいい。
「せぇぇい!」
魔術としての単純な魔力刃を放つ。と、ズェピアはそれを半身ずらしたことで回避。彼の転移に気を付けながら、さらにいくつもの刃を放っていく。だけどそれも容易く回避されていく。コイツ、ステップが上手い。
「キャスト!」
――レプリカント・コーディネーター(イド)――
突然現れた少年の黒い影。学ランのようなものを着ているから、どっかの学生かな? その少年の形をした黒い影が瞬時に私へと間合いを詰めて来て、手に持つ短刀を振るってきた。
「・・・っく」
私はそれを何とか避けて、影の少年を斬り裂いて消滅させた。その直後、私の直感がこの場から離れろと告げてきた。それに従ってすぐさま後方へと退く。その瞬間、現れたのは巨大な黒い竜巻だった。
「カット! カットカットカットカットカットカットカットカットカットカットォッ!」
「うわっと!」
今のは結構危なかったかもしれない。あの黒い竜巻はまずい。私は周囲を警戒しつつ動くことなく待つ。猛威を振るい続けたその竜巻も消え、ビルの屋上が静まり返った。
「どうした娘。このまま何もせずに舞台を降りるかね?」
「まさか。降りるのはあなたの方よ」
魔術の大半を魔法へと変えたことで今使える魔術は少ない。それでも負けるつもりはない。神秘の塊である“キルシュブリューテ”の一閃さえ当てられれば勝てるはずだ。
(仕方ない、接近戦に戻す)
やっぱり私は外からの攻撃には向かない。直接叩っ斬る。それこそ私の本来の戦い方だ。私はもう1度ズェピアとの間合いを詰める。いくら魔力で強化しても速度はさほどない。こういう時、生前使っていた歩法・閃駆が恋しい。あれがあれば、シグナムとの戦いの時
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