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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十三話 聖夜の奇跡   ★
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謝しながらその横を通り過ぎる。

 その時、背後から

「それでもなお、貴方は前に進むのね」

 問いかけの様な独白の様なリンディさんの言葉が聞こえたが俺は答えることなく、振りかえりある言葉を口にした。




side out

 太陽が昇る前、まだ薄暗い中、雪が深々と降り積もる丘の上で彼女は街を眺めながら待っていた。

 背後から聞こえる雪を踏みしめる音。
 その音に反応し振りかえるとそこには彼女が待つ二人の少女がいた。

「ああ、来てくれたか」
「リインフォース……さん」
「ああ、そう呼んでくれるのだな」

 二人の少女待っていた女性、リインフォースは主から授かった新たな自分の名を呼ばれた事に静かに微笑んでいた。
 あの戦いの最中、彼女達を傷つけた自分の名を呼んでくれる事を喜んでいた。

「貴方を空に還すの私達でいいの?」
「お前たちだから頼みたい。
 お前達のおかげで私は主はやての言葉を聞く事が出来た。
 主はやてを喰い殺さずに済み、騎士達も生かす事が出来た。
 感謝している」

 言葉には迷いも消えることに対する恐怖もない。
 ただ穏やかに感謝の思いが込められていた。

「だから最後はお前達に私を閉じてほしい」
「はやてちゃんとお別れしなくていいんですか?」

 なのはの言葉にわずかに瞳が揺れる。
 だが

「主はやてを悲しませたくないんだ」

 大切な、なによりも大切な人だからこそ泣く姿は、悲しむ姿を見て別れたくない。
 そして、少しでも悲しまないようにあえて別れを告げる事はしないという覚悟があった。

「お前達にもいずれわかる。
 海より深く愛し、その幸福を守りたい者と出会えればな」

 なによりその優しく微笑んだ表情になのはとフェイトは何も言う事が出来なかった。
 リインフォースがどれだけはやてを大切に思っているのか、その言葉と瞳だけで理解出来たゆえに

 その時、なのは達の背後から雪を踏み歩く音が聞こえた。

 そこにいるのはシグナム達、夜天の書の守護騎士達である。

「さて、そろそろ始めようか。
 夜天の魔導書の終焉だ」

 リインフォースの言葉に静かに儀式の準備は進んでいく。
 ベルカの魔法陣が布かれ、それに繋がる様に布かれる桃色と金色のミッドの魔法陣。

 儀式が行われようとした時

「リインフォース! 皆!」

 いなくなる自身の騎士の事を本能的に感じて雪の中、車椅子でここまで一人やってきたはやて。

「リインフォース、やめて。
 破壊なんかせんでええ。私がちゃんと抑える。
 大丈夫や、せんでええ!」

 必死に止めようとするはやて。

 だがリインフォースは静かに首を横に振る。


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