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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十三話 聖夜の奇跡   ★
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ノ、責任は私が持ちます」

 リンディさんの一言でクロノも黙る。

「聞こえたわね。待ってなさい」
「ああ、急いで頼む」

 通信を切り、体を起こそうとするが

「やはりまともに動かんか。
 さてどれくらい戻る事やら」

 魔術回路を閉じると同時に端末が手から零れ落ちる。

 この様でどうにかなればいいが、簡単にはいかないだろうな。
 俺がやろうとしている事は半ば賭けなんだから。

「士郎、入るわよ」

 扉が開き、プレシアの姿を見せるが唖然としていた。

 無理もない。
 こんな部屋なら当然だろう。

「悪いな、動けないんだ。
 こっちに来てもらえるか」
「……ええ」

 プレシアがゆっくりと俺に向かって歩み寄る。
 白衣を纏ったプレシアの姿。
 そういえばプレシアの仕事着の姿を見るのは初めてだな。
 こんな状況でそんな関係のない事を考える自分に内心苦笑してしまう。

「貴方、本当に大丈夫なの?」
「ああ、意識ははっきりしている。
 もっとも体はまともに動きはしないが」

 俺を抱き起こすプレシア。

「汚れるぞ」
「このぐらい構わないわ。
 それで、どうすればいいの?」
「血液を摂取する必要がある。
 説明は後でする」

 プレシアは俺の言葉に何も聞かず、ただ頷いてくれる。

「―――投影、開始(トレース・オン)

 投影するのは概念も何もないただのナイフ。

「すまないな」

 女性の身体に自分で傷をつけさせようというのだから、心が痛む。

「構わないわ。
 この程度で貴方への恩を返せるとは思っていないもの」

 左手で髪をまとめ、右の首筋にナイフを奔らせる。
 プレシアの表情がわずかに歪む。

 プレシアに抱き寄せられ首筋から流れる血に口をつける。
 本能のまま牙を突き立てないように、注意しながら血を呑みこんでいく。

 一分にも満たない時間。
 それでも魔導師であるプレシアの魔力のおかげか、自力で何とか立ちあがるぐらいには回復する。

 戦闘も歩く事すら危ういがこれで十分だ。

「助かった」
「行くの?」
「ああ、足掻いて来るさ」

 プレシアから離れ、ふらつきながら部屋を後にする。
 と部屋の外には

「……士郎君」

 俺を青い顔で見つめるリンディさんがいた。

 用意していた外套は既に維持できなくなり霧散している。
 中に着ていた服は黒とはいえ全身血濡れの状態だ。
 歩けば血の足跡が残り、手をつく壁にも血の跡は残る。

「すみませんが、転送ポートを借ります」
「……わかりました。
 クロノ達には伝えておきます」
「ありがとうございます」

 リンディさんの好意に感
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