第四十九話 柳の歌その四
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「本当に至って普通じゃ」
「そうなんですか、じゃあ」
「今回は普通に行けばいいですね」
「そして会えばいい」
その幽霊とだというのだ。
「中々面白い人でもある」
「面白いんですか」
「その人は」
二人はその話を聞いてからだった、自分達に出してもらった水羊羹を食べた。そのうえでこうも話すのだった。
「あっ、この水羊羹って」
「かなり甘いけれど」
「水羊羹にしてはかなり甘いわね」
「何処の水羊羹なの?」
「それ山月堂のだよ」
一つ目小僧もまたその水羊羹を食べている、そのうえで二人に答えたのである。
「いつものね」
「あのお店のにしては甘過ぎない?」
「ちょtっとそう思うけれど」
「何か試験作らしいよ」
それでだというのだ。
「思いきり甘くしてみたお菓子も作ってるらしいんだ」
「和菓子なのに?」
「思いきり甘く?」
「うん、外国からのお客さんも多いから」
「ああ、外国の人達って甘さの基準が私達と違うからね」
「もっと強い甘さを欲しがるからね」
二人もこのことがわかった、国によっては甘さの基準が日本のそれよりも強い国もあるのだ。
例えばだ、聖花はこの国を例えに出した。
「オーストリアの人とかね」
「台湾の人もね」
愛実はこの国を話に出した。
「お店に八条大学の留学生の人が来てかき氷食べて言ってたわ」
「一度本場のザッハトルテを常連さんにプレゼントしてもらったけれど」
それでオーストリアの甘さを知っているとだ、聖花は話した。
「これがね」
「うん、かき氷の甘さは物足りないって」
「愛実ちゃんはそう言われたのね」
「そうなの、違うって」
「私もよ、その凄い甘さにびっくりしたから」
本場オーストリアのザッハトルテの甘さにというのだ。
「凄かったわ」
「それ思うと日本の甘さって違うのね」
「みたいね、どうやら」
「それでなんだ」
ここでまた二人に話す一つ目小僧だった。
「最近あのお店も作ってるんだ」
「こうした甘いものを」
「そうだったの」
「うん、日本の甘さって穏やかなんだよね」
一つ目小僧は水羊羹を食べ終えてお茶を飲んだ、緑茶である。
その緑茶で口直しをしつつだ、二人に話すのだ。
「実はね」
「そうみたいね、本当に」
「私達の甘さって」
二人もこのことがわかった、そしてだった。
それぞれ水羊羹を食べ終えてだ、妖怪達に言った。
「私達はこれでいいわ」
「美味しいけれどね」
それでもだというのだ。
「もっとね、穏やかな甘さじゃないとね」
「口に合わないわ」
「そうだろうね」
今度はから傘が二人に言って来た。
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