12部分:12:八神家(朝)
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む」
お互いに一礼し、構える。
シグナムは剣道の手本のような正眼…大して良彦は、左手を顔の少し斜め前に拳ではなく軽く指を曲げる程度にかまえ、右手は腰のあたりで、同じように軽く指を曲げ、腰は重心をぶれさせないように少し落とし気味、足は肩幅に開き地面をしっかりと捕らえる。
一瞬の静寂から…シグナムが竹刀を振り上げ、踏み込みながらまっすぐ振り下ろす…それを良彦が、左足を一歩踏み込んで、左の拳でシグナムの持ち手に対して『弾き』を仕掛ける。
『弾き』により、左へ少しずれた竹刀が、良彦からそれ振り下ろされ、その間に良彦は続けて右足で一歩踏み込み、右拳をシグナムに打ち込もうとする、が…振り降ろしを途中で止めたシグナムの竹刀が、そらされた軌道から逆袈裟気味に切り上げられる。
それに気付いた良彦は、撃ちこむ為に踏み込んだ右足をつま先を内側に向け着地、その捻りを利用して体を左に回転させ、ぎりぎりで切り上げから逃れる。
切り上げで、できた右脇腹を狙った、良彦の追撃、先ほどの左回転の勢いを乗せた右拳が、当たる…が、来たのは硬いものを殴った衝撃…拳を受けたのは竹刀の柄…一瞬の停滞、後にお互いが距離をとるために、弾かれたように離れる。
「流石に、まっすぐ過ぎたか?」
「真っ直ぐでも十分はやいけどな…てか、やっぱ強いなシグナム」
「良彦も予想より上だ、もう少しいこうか」
「あぁ、よろしく頼む」
その後暫くは、お互いの竹刀を、拳を体に当てさせることは無く、端から見れば約束組み手のようにもみえたかもしれない。
が、段々と良彦のほうに疲れが見えて来る…シグナムの剣速ははやく、集中しなければ、反応しきれず、反応しても一本がきまらない焦り…経験の少ない少年は、その中でスタミナをどんどん奪われていっている…そして。
良彦が焦って繰り出した拳をシグナムの竹刀が、パァンと良い音をさせ弾く、次の瞬間には竹刀の先が良彦の胴へ吸い込まれ…もう一度パァンという良い音が響く。
その音と共に、後に倒れる良彦…が、疲れは見えるものの顔は笑っているように見える。
「はぁ、はぁ…あー、疲れた、久しぶりに人と組み手したけど、やっぱりいいな」
「そうだな…良彦は普段は相手が居ないのか?」
「あー、うん、基本一人暮らしだし、お世話になってる人は剣術の達人だけど、流石に普段から組み手はしてもらえないから、なにせあの人達は木刀でやってるんで、子供にはまだだめ、っていわれててさ」
「そうか、偶にでよければ、私が相手をしようか?」
「良いのか?」
「やめといたほうがいいぞ、良彦」
がばっと起き上がった良彦に聞きなれた声が掛けられる、眠そうな顔のヴィータだ。
「何でだよ、ヴィータ」
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