第六十一話 図書館でその十三
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「色々あるわよ」
「じゃあちゃんこ鍋は」
「何かとは言えないわ」
「ううん、じゃあね」
「何がいいの?」
「すき焼きかな」
やはり言うのはこれだった。
「それがいいかな」
「すき焼きね」
「うん、それね」
こう樹里に言う、自分からも。
「牛肉にお葱にお豆腐にね」
「糸こんにゃくにおふもね」
「茸もだよね」
「お肉は輸入ものだけれどね」
だがそれでもだというのだ。
「豪勢にするわね」
「楽しみにさせてもらうね」
「やっぱり国産のお肉は無理だけれど」
理由は簡単だ、高いからだ。
「輸入肉だと安くて一杯買えるからね」
「輸入肉っていいよね」
「安いからね」
これに尽きた、何だかんだで輸入肉はいいものだ。アメリカなりオーストラリアなり色々な国のものがあるが。
「いいわよ」
「じゃあ楽しみにしてるね」
「何処かの新聞記者が主人公の料理漫画みたいなことは言わないから」
どの漫画かはあえて言わない。
「というかあの漫画実際には役に立たないから」
「うん、自然食とか言うけれどね」
「お父さんも最初は買ってたけれどもうね」
「買わなくなったんだ」
「面白くないし言ってることが出鱈目だってね」
「しかも何か出て来るキャラクター皆下品だよね」
下品と言っても様々な種類がある、この漫画の下品さはどういったものかというと。
「粗暴で野蛮で」
「本当に皆そうよね」
「平気で権力濫用するし」
「独善的でね」
「あれはどうしてなのかな」
「原作者の人格が出てるのかしら」
樹里は真剣にそう考えていた。
「それでじゃないかしら」
「そういえば剣にも人格が出るっていうけれど」
上城は剣道のことから言った。
「粗暴な人間の剣道は確かにね」
「乱暴になるのね」
「うん、中田さんが成敗した暴力教師もそうだったしね」
その教師がいい例である、教師であるが故の特権と腕力にものを言わせ生徒に暴力を振るう輩の剣は腐ったものだ。
それでだ、こう言ったのである。
「だからだね」
「そう、原作を務める漫画にもね」
原作者の人格が出るというのだ。
「あの漫画もそうで」
「そうなるんだね」
「本当にあの漫画って酷いから」
キャラクターがだというのだ。
「だからよね」
「そうなるんだね」
「そうね、本当にね」
二人で話してそうしてだった。
上城は戦いのことを念頭に置いてまた言った。
「戦いに生き残ったらね」
「その時はなのね」
「そうした人間にならない様にして生きたいね」
「そうよね」
二人で話してそうしてだった。
上城は十二時に総合グラウンドに行くことにした、そのうえで戦い生き残ることを決意したのである。樹里と共にいながら。
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