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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百三十二話:男のロマン
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「……いや。俺が、悪かった。……気を付ける」

 持ち直したように、顔をしっかりと上げてヘンリーが言いますが。

 ……これは、まだだな。
 まだ、落ち込んでるな。

「……ヘンリー。ちょっと、来て」
「……何だ?」

 腕を掴み、私の急な行動に戸惑うヘンリーを、馬車に引っ張り込みます。


「ヘンリー。座って」
「……ああ」

 なんだかわからない様子ながらも、ヘンリーが素直に腰を下ろします。

 私も腰を下ろして、ヘンリーを抱き締めます。

 ヘンリーがさらに戸惑ったように身動いで、口を開きます。

「……おい、ドーラ」
「嫌いじゃないから。なるわけないでしょ、嫌いにとか。ヘンリーは、なるの?私がちょっと間違って、嫌なことしちゃったからって。それで私を、嫌いになるの?」

 私の問いに、呟くようにヘンリーが答えます。

「……俺が。お前を、嫌いになるわけ無い」
「私は、酷いこと言ったのに?思ってもないのにきらいだって言って、ヘンリーを傷付けたのに。それでも、嫌いにならないの?」
「ならない。絶対に、お前を嫌いになんかならない」

 今度ははっきりと、断固とした口調でヘンリーが答えます。

「なら、私だって。十年一緒にいたのに、今も一緒にいて守ってくれるのに。本気で嫌がるってわかってればしないって知ってるのに、ちょっと間違えたくらいで。嫌いになんかならない」
「……ドーラ」

 ヘンリーを抱き締めたまま片手を頭に伸ばし、ゆっくりと撫でます。

「ごめんね。酷いこと言って、ごめん。もうわかったから、もう言わないから。だから、もう落ち込まないで」

 私の背中におずおずとヘンリーの腕が回されて徐々に力が込められ、強く抱き返されます。

「……ドーラ。悪かった。本当に、気を付けるから。だから本当に、嫌わないでくれ」
「大丈夫。ならないよ、嫌いになんて。ヘンリーも、ならないんでしょ?」
「……そうだが」
「大丈夫だから。嫌いな相手に、こんなことするわけないでしょ?」
「……ああ。そうだな」

 柔らかい口調で答えたヘンリーの顔を、探るように見詰めます。

「……もう、大丈夫?」

 だいぶ、落ち着いたように見えるけど。

「……もう少し、このままでもいいか?」
「うん。いいよ」

 またぎゅっと抱き締めて、頭を撫でて。

 思い出したように、聞いてみます。

「……ところでさ。あれは結局、何がしたかったの?」
「……」

 男のロマンとか。

 単純に見たくてやってるだけのようには、どうも思えないんですけど。

「……そんなに、見たいの?」
「……見たいは、見たいが……」

 やはり、それだけではないのか。

「……な
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