初戦
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部隊に、出来る事などない。
ゼッフル粒子すらまき散らされた状態では、満足な抵抗も出来るわけがない。
逃げ惑う者たちの一部には、設置されたトラバサミが食い込んだ。
その背に容赦なく、トマホークは突き刺さり、真白い雪原を深紅に染めていった。
元より奇襲を行う事を前提にしていた部隊だ。
白兵戦の行うための装甲服など、誰も身につけていない。
その上にゼッフル粒子まで使われれば、帝国兵は逃げることしかできない。
容赦なく繰り出される攻撃に、悲鳴が雪原に響き渡った。
逃げ出す兵士を追いかけるのは血に染まった同盟軍。
息も絶え絶えに逃げれば、やがて先頭で血に染まった腕をアレスはあげた。
全員が呼吸荒く、アレスを見る。
集中した視線に、アレスはフェイスガードの奥で唇をあげた。
「そこまでで良い。生存者の確認を。この戦いは我々の勝ちだ」
小さく握った拳に、歓声があがった。
+ + +
敵の死者十三名、負傷者五名。
およそ一個小隊をほぼ壊滅させたであろう戦果であった。
その戦果をカッセルから伝えられても、アレスは頷いただけであった。
「見事なものですな。こうなると予想していたのですか」
「まさか。こちらは奇襲があった時に勝てるように作戦を立てていただけだ」
「敵の奇襲がなければ」
「無事生還できるだけだ」
アレスの言葉に、カッセルは笑った。
カッセルは褒めるがアレスは特に大きな事をしたわけではない。
カプチェランカにおける戦闘は敵基地の前で野営をしていたという特異な事例を覗けば、大きくは二つに分けられる。
突発的な遭遇によるか、どちらかの夜襲だ。
特に吹雪で光源も策敵も満足にいかない状況であれば、夜襲は非常に効果が高い。
むしろ策敵の任務は敵をいち早く発見し、そして敵兵を捕えることだ。
敵兵を捕える事が出来れば、敵の基地を聞きだすことは容易い。
そう教えられれば、敵もそれを考えていることは容易に想像がつく。
ならば。
「あえて隙を見せて、敵に奇襲をかけさせる……ですか」
「こちらが若く見えるって武器は今のうちに使っておかないとね」
「しかし、失敗した時を考えられなかったのですかな」
「相手がこちらを巻き添えにしようと、レーザーを撃ってきた場合か?」
「ええ。すぐに散るとはいえ、ゼッフル粒子が蔓延している中でレーザーを撃たれれば、こちらも全滅したでしょうな。実際、操作を間違えて自爆した敵や味方は五万といます」
「それを防ぐために、最初に敵の頭を潰したし、こちらも深追いはしなかったのだけれどね」
「それでも完璧ではないでしょう」
「どこにも完璧な策などないさ。ゼッフル粒子を使わずに、プラズマ弾を撃たれれば、装甲服で
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