初戦
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まった。
その光景にゲルツが奥歯を噛む。
「馬鹿野郎。散開しろっ」
叫んだとほぼ同時に、レーザーの光が駆け抜ける。
悲鳴をあげた男は蜂の巣にされて、助けに行った人間も幾人かが胸を打ち抜かれた。
走りだして、ゲルツは新雪に身体を投げる。
そんなゲルツの目に映ったのは、同じように悲鳴をあげる部下と――そして、新雪の間に並べられた幾つものトラバサミだった。
いつの間にと考えて、おそらくは装甲車の光源を落としてからだろうと思う。
監視用のレーダー外からでは、どうしても視覚が生じる。
深い闇になれば、細かな動作まで監視することは不可能だ。
その視覚を最大限に利用して、設置された。
「罠か」
苦いものを吐きだすように、ゲルツは言葉を口にした。
随分と古典的で、しかし、効果のあるものだ。
一撃で仕留めるわけではなく、悲鳴をあげさせて、集まってきた仲間も狙う。
視界の悪い環境下では、有効な攻撃だろう。
敵は悲鳴があがる方向へ攻撃を仕掛ければいいのだから。
敵の攻撃が止んだ。
散開の際にトラバサミにひっかかり、悲鳴をあげた者は既に全員が仕留められている。
認識を変える必要があると、ゲルツは思った。
敵の頭は新人だろうが、ゲリラ戦に精通した厄介な部下を持っている。
「プラズマ砲を!」
舌打ちをして、ゲルツは方針を転換する。
敵の小隊長を捕まえて、基地の居場所を聞き出すという当初の方針は捨てる。
最大限の攻撃を加えて、離脱する。
その際に幾人かの敵兵を捕え、あわよくば装甲車も破壊する。
そのためには敵に対して最大限の打撃を与える事が優先。
近づいた部下からプラズマ砲を手にした。
「くら……」
呟きかけたゲルツを止めたのは、敵から投げられた物体が異音を発生したからだ。
この音は、プラズマ手榴弾ではない。
ゲルツは良く知っている。
「ゼッフル粒子」
ゲルツは苦い顔を隠さない。
この吹雪であれば、粒子が発生してもすぐに散らされる事だろう。
このような少数では、せいぜい一瞬でも持てばいい。
だが。
ゼッフル粒子の叫びに誰もが手を止めていた。
頭では無駄だと理解していても、誰もがゼッフル粒子の恐怖を身体が覚えている。
撃てと叫ぼうとしたゲルツの視界に、真っ黒い闇が差し込む。
何だ。
それはゲルツの脳裏に浮かんだ疑問とともに、彼の頭部を叩き潰した。
「突撃しろ!」
アレスの声で、騎士の鎧に似た装甲服に身を包んだ特務小隊の面々が突撃を開始した。銃弾すらも弾く装甲服は設置されたトラバサミすらも意に返さず、敵への突撃を開始していく。
元より白兵戦を想定していない帝国軍だ。
突然現れた完全装備の
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